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Fランクダンジョンの平和な日常〜ダンジョンコアになって十数年いろんなことがありました〜  作者: 弌黑流人
【第一部】 第四章 マグマ下の秘密と火竜の育成計画

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第41話 マスコット・ライセンス契約と、領主様の「無茶振り」。

 子供たちの遠足での「ひょっこり遭遇事件」から一夜明け。


 俺のコアルームには、朝から目が貨幣マーク($)になった転売屋ザックが詰めかけていた。


 「さあコア様、話は早えほうがいい!あの赤いトカゲ……いや『キュイちゃん』のグッズ販売、独占権を俺にくださいよ!今なら街中の子供の親の財布が緩みっぱなしだ!」


 俺はクリスタルコアをゆっくりと明滅させ、冷徹な声(念話)をザックに送った。


 「ザック。許可は出す。だが条件は二つだ。」

 「条件? へへっ、なんだって聞きますよ!」

 「一つ、あの生き物の種族名は絶対に伏せろ。正体は『火熱の迷宮の守護精霊の化身』、名称は『キュイちゃん』。これ以外の呼び方を公にすることは一切禁ずる。もし『火竜の幼体』などという言葉が外部に漏れたら、貴様の商売をこのダンジョンから永久に追放する。」


 ザックの顔から一瞬で欲の皮が剥がれ、商人の真剣な顔になった。「……なるほど、トップシークレットってわけだ。了解です。口の固い職人だけに発注しますよ」


 「二つ。売上の三割を『ダンジョン維持管理費(EXP変換用)』として徴収する。そして、キュイちゃんをダンジョンの外へ連れ出すことは、俺の許可なくしてはならん。」

 「三割!? 厳しいな……。だが、あの人気なら元は取れる。取引成立だ!」


 こうして、史上初の「ダンジョン公認マスコット・ライセンス契約」が締結された。


 翌日から、ザックの店には『キュイちゃんぬいぐるみ(限定100個)』を求めて、夜明け前から行列ができた。


 ぬいぐるみは、ザックが腕利きの裁縫師に特急で作らせたもので、キュイのクリクリとした目と、パタパタする尻尾が完璧に再現されていた。


 だが、人気が出過ぎるのも考えものだ。


 その噂を聞きつけた隣の街の領主、グラドス男爵から、バルカス爺さんを通じてとんでもない依頼が舞い込んできた。


 「コア殿……。実は隣町の領主が、自分の街で開催される収穫祭のパレードに、ぜひ『キュイちゃん』を出張させてほしいと言ってきておるのだ。子供たちのために、一目見せてやってくれ、とな」


 (フム。「出張」だと? ダンジョンの外へ火竜の幼体を出すリスクがどれほど高いか、分かっていないのか……)


 俺は断るつもりだったが、バルカス爺さんは困った顔で続けた。


 「断るのも手ですが、あの男爵は王国内でも発言力が強く、我が街の流通経路も握っております。円満に断るか、あるいは……何らかの代替案を出さねば、街の商人たちが困ることになりますぞ」


 入り口ではザックが「出張!? パレードの入場料を取れば大儲けですよ!」と騒ぎ、アムネは「キュイちゃん、お外に出たいって言ってるよ!」とはしゃいでいる。


 地下では当のキュイが、イグニスの尻尾を噛んで遊んでおり、外の騒動などどこ吹く風だ。


 (やれやれ。平和になると、今度は『人気者ゆえのトラブル』か。だが、これもまた平和な悩みだ。俺のダンジョンの安寧を守りつつ、隣町の領主のメンツも立てる……。『ととのい』の精神で、この難題を解決してやろうじゃないか)


 俺は、新たな経営戦略――「リモート出張システム」の構築に向け、魔力の計算を開始した。


 ご拝読ありがとうございます。うれしい誤算、平和な悩み、それでも前向きなやりがいでもありますね。キュイちゃんは自分の食い扶持は自分で稼ぐ!!を覚えそう(笑)では、次回、新たな経営戦略「リモート出張システム」が明らかになる!!乞うご期待!!

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