第34話 街の攻防と、三方向への反撃開始。
Fランクダンジョン『火熱の迷宮』を目指して、三方向から押し寄せるモンスターの群れは、凄まじい勢いだった。
しかし、彼らの前に立ちはだかったのは、かつての冒険者たちである街の猛者たちだった。彼らは、コアのサービスによって維持された高い身体能力と、何十年もの経験で培った熟練の戦術を持っていた。
「前衛はオレとハルトで抑える!後衛は、ザックがくれた回復薬を惜しみなく使え!」
猛者たちは連携を取り、三方向の侵入路すべてで、押し寄せるAランク級モンスターを食い止めていた。彼らの手には、転売屋ザックが「将来のビジネス投資」として無償提供した、高品質の武器や防具が握られていた。
ザック自身も、煙を上げ始めた簡易テントの中で、猛者たちの傷の手当やアイテムの供給に追われていた。
「おい、そこの爺さん!ポーションはがぶ飲みしやがれ!元はといえば、俺の仕入れ値だ!絶対死ぬんじゃねえぞ、お客様!」
彼は口汚いながらも、その目は真剣だった。Fランクダンジョンが提供する「平和な安寧」という土台が崩れれば、彼の商売の全てが終わりなのだ。ザックは、コアの平和主義が、結果として自分の最大の利益に繋がることを理解していた。
一方、セリカ率いるクラン【ととのいの鐘】は、迅速に行動を開始していた。
第一班(リーダー:セリカ)は、最も危険とされる『鉄の心臓』のダンジョンへ向かった。このダンジョンは、極度の熱と金属系の防御が特徴だ。
「コア様は、私たちに最高のサウナと水風呂のととのいを与えてくれた!このダンジョンの熱で、その聖域を汚させはしないわ!」
セリカは、コアのダンジョンで獲得した極度の耐熱能力と、氷属性の魔法を駆使し、瞬く間にダンジョン深部へと突入していった。
第二班は、『砂塵の塔』へ。このダンジョンは、幻影と砂嵐による錯乱戦術を得意とする。彼らは、コアの指導で得た「心身の安定」と、精製されたハーブによる高い精神耐性で、幻影を突破していった。
第三班は、『氷の要塞』へ。ここは極寒と氷のモンスターが特徴だが、彼らはFランクダンジョンのロウリュウサウナで鍛え抜かれた耐寒能力を武器に、突き進んでいく。
クリスタルコア内部のワンルーム。俺は、複数のモニターで外界の状況を監視していた。
街の攻防。セリカたちの進撃。全てが、俺の「平和な安寧」を守るための、俺のEXPに頼らない戦いだった。
(フム。俺は、誰も死なせないシステムを作った。そのシステムが、今、外界の者たちの『感謝』と『自己利益』という形で、拡大して機能している。これは、俺の運営が正しかった証明だ)
俺は、マグマの暴走を収めてくれたイグニスの存在(そして火竜の幼体という秘密の EXP 消費先)のおかげで、EXPの心配は一時的に無くなった。しかし、セリカたちがAランクコアを破壊しなければ、このモンスターパレードは止まらない。
俺は、クリスタルコアを優しく浮遊させ、静かに呟いた。
「頼んだぞ。俺のダンジョンの卒業生たちよ。お前たちの『平和への執着』が、必ず勝利を呼び込む。」
このFランクダンジョンと、コアの安寧を守るための、外界からの反撃が本格的に始まった。
ご拝読ありがとうございます。Fランクダンジョンの卒業生。今の中堅冒険者あたりまでが該当しそうですね。それと、例のクランは同好会の趣きが強いような雰囲気ですが、かなりの手練れ揃いのようですね。さてさて、三連モンパレの結末はいかに!それでは次回もお楽しみに!!




