第32話 マグマの沈静化と、三連モンスターパレード。
火の精霊イグニスの「不機嫌」により、地脈干渉の危機は去った。コアルーム内の灼熱の熱も急速に収まり、ユリエと王国守備隊は安堵の息を漏らした。
国王の弟ゼノスが送った刺客たちは捕縛され、アルト王子とリーネ王女の安全は一時的に確保された。俺は、クリスタルコアを浮遊させ、守備隊長に指示を出した。
「守備隊長。王族の子供たちは、すぐにこのダンジョンから退去させろ。」
守備隊長は驚いた。「コア殿!危機は去ったのでは?」
「馬鹿め。黒曜石のコアが自滅したとはいえ、俺のダンジョンを狙うAランクダンジョンコアは他にも存在する。俺の使命は『安寧の維持』だ。この状況で、最も狙われる王族を内部に置くのはリスクでしかない。一刻も早く、国王陛下レオンハルトの元へ戻すんだ。」
守備隊は即座に指示に従った。アルト王子とリーネ王女は、安全に帰還できることに安堵しつつも、名残惜しそうにクリスタルコアを見上げた。
「コアのおじちゃん!またサウナとジェラート食べに来ていい?」リーネ王女が尋ねた。
「……フン。貴様らの EXP 稼ぎが許される状況になれば、な。早く行け。」 俺はぶっきらぼうに答えた。
王族兄妹とユリエは、守備隊に厳重に守られながら、避難民が集まる街から離れた高台の避難所へと向かっていった。
マグマの暴走は収まったものの、街の人々は依然として恐怖から高台で様子見を続けていた。地殻変動がいつ再開するかわからない状況では、誰も街へ戻ろうとはしなかった。
一方、俺の警戒網は、他のAランクダンジョンコアの動向を捉えていた。黒曜石のコアが地脈干渉という「禁忌」を犯したことで自滅したのを見て、残りのAランクコアたちは、より直接的な物理攻撃に切り替えたのだ。
【警告:Aランクダンジョン『鉄の心臓』『砂塵の塔』『氷の要塞』より、同時多発的な異常な魔物生成を感知!】
残る3箇所のAランクダンジョンが、示し合わせたかのように、同時刻に強力なモンスターを大量に生成し始めた。その進路は、全て俺のFランクダンジョン『火熱の迷宮』を目指している。モンスターパレードだ。しかも、3箇所同時。
「チッ。卑劣な。ダンジョンを直接破壊するだけでなく、その途上にある街を蹂躙し、避難民を混乱させ、冒険者の街そのものを機能停止させるのが狙いか!」
Aランクモンスターが街を通過すれば、避難中の人々も冒険者も、奮起して戦うことを余儀なくされる。
ちょうどその頃、俺のエージェントとなったリナは、クランリーダーへの報告を終え、バルカス爺さんの元へ急行していた。
バルカス爺さんは、使者が出発したばかりで、まだ守備隊の帰還を知らない状況だったが、リナの報告で地脈干渉という「禁忌」の詳細を知り、激怒した。
「地脈に干渉だと!?黒曜石は自滅したとはいえ、他のAランクコアが同じことを企んでいる可能性は高い!国王陛下にご報告せねばならん!」
その時、ダンジョン外の監視カメラが、避難中の街へと向かってくる巨大な魔物の群れを映し出した。それは、Aランクダンジョンが作り出した、このFランクダンジョンには不釣り合いなほどの強力なモンスターたちだった。
「リナ!見ろ!これが奴らの次の手だ!街が、冒険者たちが危ない!」
リナは剣を握りしめた。
「コア様は、私の命を救ってくれた。今度は、私がコア様の安寧を、そしてこの街を守ります!」
バルカス爺さん、リナ、そしてこの状況を裏で把握していた転売屋ザック――Fランクダンジョンの平和と、その恩恵にあずかっていた者たちが、ついにこの危機に対抗すべく、動き出し始めた。
ご拝読ありがとうございます。むむむ!モンパレ三連同時進行!やばいですね。まずいですね。でも、火熱の迷宮Fランクダンジョン愛好家たちが奮起する!いやぁ〜、楽しみですね。それでは次回もお楽しみに!!




