第30話 地脈の危機と、バルカスの使者。
クリスタルコア内部のワンルーム。俺は、エージェントとなったリナがダンジョンを退出するのを見届けた後、即座に警戒レベルへ移行していた。
「【警告】 ―― Aランク『黒曜石の迷宮』コアが、王国ギルド連盟に運営停止の公式抗議を提出。外部からの組織的な攻撃が開始された。」
その時、最悪の緊急アラートがコアシステムを揺るがした。
【緊急警告:地脈魔力に異常な干渉を感知!マグマ溜まりの温度が臨界点へ!】
黒曜石のコアは、裏で地脈を介した破壊工作を開始していた。地下のマグマ溜まりが異常な熱を帯び、Fランクダンジョンどころか、周辺の街全体を巻き込む崩壊の危機が迫る。
「【EXP 消費】 ―― 地脈干渉に対する防御シールド構築を継続。」
俺は EXP を大量に消費し続けたが、マグマの温度上昇は止まらない。この異常な熱は、即座にダンジョン外の街にも影響を及ぼし始めた。
街の人々は、地面から伝わる異常な熱と、湧き上がる魔力の乱れにパニックを起こし、避難を開始した。
街の宿場にいた元王国騎士団のベテランことバルカス爺さんは、この異変こそが、国王レオンハルトから託された「不測の事態」だと理解した。
(まさか、地脈にまで手を出すコアがいるとは!国王陛下の子供たちが危ない!)
バルカス爺さんは、即座に信頼できる最速の使者を王都へ向かわせ、国王に事態の深刻さと「Fランクダンジョン内部の子供たちの保護」を報告させた。
この「街のパニックと避難」という情報は、同時に、国王の弟ゼノスにもギルド内に潜伏しているスパイにより報告された。
(地脈干渉だと?これは神が与えた機会だ!ダンジョンが崩壊する前に、最後の刺客を送り込めば、証拠も残らない!)
ゼノスは、国王が守備隊を派遣する前に、凄腕の刺客を送り込むことを決断した。
「ユリエ(王族兄弟の護衛騎士)。聞け。国王の弟ゼノスが、この混乱に乗じて最後の刺客を放ってくる可能性が高い。狙いは貴様らだ。このダンジョン内に刺客が入ってきた場合、俺は詳細を感知できる。最大限の警戒をしろ!」
俺は、精鋭の刺客がダンジョンに入場するのを、大量に EXP を消費しながら待つしかなかった。
(くそ、このままだと EXP が底をついて、街もダンジョンも崩壊しかねない…。)
地脈干渉の影響は深刻化していた。防御シールドが EXP を飲み込み続けても、コアルーム内部の温度はサウナの域を遥かに超えていた。
ユリエは、汗だくになりながらも、アルト王子とリーネ王女を、コアのクリスタルに最も近い安全な場所に隠した。
「アルト様、リーネ様!どうか、ここで大人しく!」
アルト王子とリーネ王女は、熱で顔を赤くしていたが、コアの警告と、ユリエの剣幕に、ぐっと我慢していた。
「【警告】 ―― 地脈干渉によるマグマ暴走まで、残り10分。このままではダンジョン機能が停止します!」
俺は、クリスタル内部で焦燥した。俺の EXP は、この強力な防御を維持し続けるには限界に近づいていた。
そのとき、ダンジョン内部センサーが、ついに反応した。
【警告:凄腕の刺客3体、ダンジョン内へ侵入。現在、コアの部屋へ接近中。】
「チッ。来たか。ユリエ!刺客だ!凄腕だぞ!俺は防御に全EXPを割いている。貴様一人で、時間を稼げ!」
ユリエは、刺客がダンジョンに入ったことを知り、一瞬顔を青くしたが、すぐに剣を構えた。
「承知いたしました、コア様!このユリエ、陛下の御子息を命に変えてもお守りいたします!」
刺客たちは、迷うことなく最短ルートでコアルームへと到達した。彼らの目的は、アルトとリーネの暗殺のみ。ユリエは、彼らの進路を遮るように立ち塞がった。
「国王陛下の御子息に、指一本触れさせません!」
ユリエは、王族の護衛として極限まで集中力を高め、凄腕の刺客3人と壮絶な攻防を繰り広げた。刺客たちは、ユリエの剣技を上回り、彼女の防御を徐々に崩していく。刺客の一人がユリエの腕に深手を負わせ、アルト王子の隠れ場所へ向けて、ナイフを投げつけた――。
「【EXP 消費:-100 EXP】 ―― 最後の遮断シールドを展開!」
そのとき、ダンジョン入口から、大勢の足音と、金属の鎧が擦れる音が響き渡った。
バルカス爺さんの使者からの報告を受け、国王レオンハルトが、子供たちを救出するために王国守備隊の精鋭を送り込んできたのだ。
守備隊は、熱と魔力の乱れが激しいダンジョン内へと突入してきた。
「王子の居場所を確保せよ!刺客を捕縛しろ!」
刺客たちは、自分たちが国王直属の守備隊に完全に包囲されたことを知り、絶望的な状況に陥った。彼らは、暗殺に失敗した上に、もはや逃げ場はなかった。
ご拝読ありがとうございます。この物語始まって以来の大大大、大ピンチ!これはヤバいな(語彙力も低下するほど)。
さ てさて、Fランクダンジョンは崩壊へのカウントダウンを数えることになるのか?はたまた、起死回生の妙案を思いつくのか?それよりも気になっていたことがありまして、なぜ地殻変動が起こりマグマ溜まりが定着したのか?ですね。
疑問を残したままですが、次回も乞うご期待!!です!!




