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Fランクダンジョンの平和な日常〜ダンジョンコアになって十数年いろんなことがありました〜  作者: 弌黑流人
【第一部】 第三章 平和への挑戦者たち

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第28話 平和への執着と、転生前の断片。

新たな火種が激しさを増す!!

第三章 平和への挑戦者たち

 王と王妃は、クリスタルコア内部のワンルーム(俺の生活空間)の存在に衝撃を受けつつも、子供たちの安全を最優先し、コアの指示に従って帰路についた。


 (フム。王族のトップ層に俺の存在を明かした。最大のリスクを負ったが、これで叔父からの直接的な攻撃は避けられる。EXP収益も安定している)


 俺は座椅子に座り、インスタントコーヒーを淹れながら、モニター越しに王族兄妹が熱波ゴブリンのロウリュウを受けているのを確認した。ハウスキーパー・スライムが、彼らの世話を完璧にこなしている。


 「俺の平和は、俺のシステムで守る。それでいい。」


 理知的でぶっきらぼうな口調で自分に言い聞かせたとき、脳裏に一瞬、強い「ノイズ」が走った。それは、転生した際に切り捨てたはずの、前世の記憶の断片だった。


 俺は、ダンジョンコアとして運営を始めてからずっと、「死者を出さない」「弱者を守る」というポリシーを頑なに守ってきた。これは、Fランクという格付けや、EXP効率とは全く関係のない、個人的な執着だ。


 (転生や前世の記憶がどうこうという話は、正直、もうどうでもいい。俺は今、ダンジョンコアだ。だが……なぜ、俺はこれほどまでに、『理不尽な死』を嫌う?)


 脳裏にフラッシュバックしたのは、薄暗い部屋の天井と、冷たい床の感触。そして、ひどい「無力感」だ。


断片的な記憶:

 「……くそ。ここで終わりかよ。理不尽だ。何の救いも、反撃のチャンスもなく、ただ、唐突に……」

―― 抵抗する間もなく、一方的に、命を奪われた。それは、ゲームでも、物語でもない。現実での、何の準備もない、あまりにも突然の終焉だった。


 「チッ」


 俺は舌打ちをし、コーヒーを一気に飲み干した。コアに転生する前の俺は、どのような人生を送っていたのか、記憶は曖昧だ。だが、この「理不尽さへの嫌悪」だけは、鮮明に残っている。


 (そうだ。俺は、プレイヤーとして、何の理不尽もなく死んでいく命を見るのが嫌なんだ。このダンジョンでは、誰も、一方的な暴力や、不公平な理由で死ぬことは許されない。それが俺のルールだ)


 俺の「平和なダンジョン運営」という目的は、単なるダンジョンコアとしての役割ではなく、前世で理不尽に命を奪われた「俺」自身の哲学に基づいていたのだ。


 その時、モニターに、ダンジョン外部ネットワークから送られてきた一つの情報が表示された。


【外部通信:『黒曜石の迷宮(Aランク)』コアより、Fランクダンジョン『火熱の迷宮』宛に警告通信。】


 (なんだ、この不愉快な魔力は。競合コアからの接触か?)


 通信の内容は、俺の予想以上に、俺の平和を脅かすものだった。


 『「安全すぎて儲からない」Fランクダンジョンコアよ。貴様の運営方針は、我々ダンジョン運営者全体の利益を損なっている。直ちに方針を変更しろ。さもなくば、貴様のダンジョンを破壊する。』


 俺の平和主義が、ついに外部の「競合他社」、すなわち他の凶悪なダンジョンコアの目に留まったのだ。


 「ふざけるな。俺のダンジョンは、俺のルールで動くんだ。」


 俺は静かにクリスタルコアを浮遊させ、座椅子から立ち上がった。王族の安全を確保したばかりで、次はダンジョンそのものの安全を確保しなければならなくなった。


 「【 EXP 警告】 ―― 外部からの脅威に対し、俺の平和を維持する。EXP の消費が増える。だが、この平和は絶対に手放さない。」


 俺のダンジョンは、新たな、そしてより大規模な闘いに巻き込まれようとしていた。

 ご拝読ありがとうございます。まさかの、同業者から「破壊宣告」がくだされようとは!むむむむ!どうするダンジョンコア!どうなるダンジョンコア!だけど、破壊ってどうやるつもりなんだろ?気になりますねぇ…。ふふふふ。それでは次回も、お楽しみに!!

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