魔境の復讐 20
そして、彼女達の戦いは始まった。
「「ふん、いいわ。貴方も脱がせてあげるわ」」
金瞳の綾香の鞭が愛姫を襲う。愛姫は、それを避けることはせず、迎え撃つ。
その鞭は着物に弾かれ、まるで、破裂する様に壊れた。
「かかか! 霊力の桁が違いすぎるわ。主の霊具など、わっちには届かん」
愛姫は、両手を軽く振る、その両手からは、風が荒れ狂い、綾香たちを吹き飛ばす。
「「きゃぁぁぁぁぁ!」」
赤瞳の綾香の制服は、その衝撃で引き裂かれて空を舞う。
金瞳の綾香も、吹き飛ばされて、壁に激突した。
「「鞭が駄目なら、これならどう?」」
金瞳の綾香が、パチリと指を鳴らす、すると、空間に歪みが生じ、其処から、数人の男子生徒が現れた。
「「え? これだけ? なんで?」」
「それは、あたし達がやっつけちゃったからさ!」
俺の後ろで、玲子の声が聞こえた。どうやら、合流出来たようだ。
俺は、玲子に声をかけようとして、振り返り、そして、視線を前に戻した。
彼女は、岳の物であると推測されるブレザーの下に、綾香と同じ服を着ていた。
人によっては、その格好の方が、目の毒であると思う。
「「仕方ない! お前達、着物の女をやるのよ!」」
男子生徒達は、綾香達の命令を聞き、愛姫に襲い掛かる。
しかし、愛姫が軽く手を叩くと、彼らは、赤瞳の綾香に襲いかかり、そのボロボロの服を剥ぎ取り。
彼女に多い被り、殺到し、行為を始める。
「い、いやぁ! やめてぇ!」
彼女は叫び声を上げ、抵抗するが、無駄だった。やがて、その声は聞こえなくなったが、彼らの行為が終わることは無さそうだった。
哀れには思うが、仕方の無いことだ。己の呪詛は、やがて、己に帰る。
この理の元に行われた行為に関しては、自業自得としか言えないのだ。
そして、彼らが識鬼の綾香ではなく、綾香自信を襲ったということは、一連の行為は、彼女自身の想いで行われたという事の証明でもあった。
「ふふふふふ」
圧倒的に不利な事態に、金瞳の綾香、いや、彼は笑う。
綾香の意思が途切れる事によって、彼は解放された。
綾香の姿のをとっていた彼は、卵の様な形に変わり、金色の瞳を大きく見開く。
あの姿こそが、本当の彼、いや、あの姿さえも、彼の本当では無いのかも知れない。
不定にして、不形。語り継がれた数だけ形を持ち、望まれた数だけ形を増やす。
鏡の中の怪人、復讐と欲望の権化、識鬼神、ハンプティ・ダンプティ。
遂に、彼がその姿を現した。




