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源流堂探偵事務所にようこそ  作者: 西渡島 勝之秀
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魔境の復讐 18

 僕は、汚された少女達の中に、見知った顔を発見してしまい、落胆する。

 

 「ああ...... なんて事だ。これじゃ......」


 それは、岳のクラスメイトであり、今回の依頼者である、小百合だった。


 「依頼、失敗じゃないか!」

 

 初めての大きな依頼が失敗に終わった。その、残酷な事実を知った僕は、思わず叫んでしまい、そして、直後に後悔した。

 何故ならば、僕は、偶然にも、奴らの死角に現れていたらしく、いや、厳密に言うと、現れたのは奴らの方か? 兎も角、声をあげた事により、ゾンビのように正気を失った男子生徒に気付かれてしまった。


 彼らは、一糸纏わぬ姿でゆらゆらと此方に向かって来る。

 腰に携えた起立した刀が、一緒にゆらゆらとゆれている様は、余りのシュールさに思わず笑いが出そうになってしまった。


 この状況で、何故僕がこんなに余裕があるのか言えば、最悪の事態を回避する事が出来たからだ。

 奴らは、誰かに覆いかぶさるように屈んでいた。

 僕に気付き、襲い掛かるために立ち上がった彼らの下には、涙目になりながら、必至に抵抗する玲子たんがいたのだ。

 

 状況から察するに、彼女の貞操は、ギリギリで守られたらしい。

 もっとも、汚された少女達とお揃いの服を着ている時点で、それが守れているのかと問われれば、僕には、その回答を用意することは出来ないのだが。


 「え? あれ? 助かった? なんで?」


 間抜けな声を出している玲子たんだったが、流石に、今は彼女の疑問に答える余裕は無い。

 相手は、全裸の男子生徒5名。普通に考えれば、太刀打ち出来るような人数では無い。

 玲子たんも、空手の有段者である為、二人位なら対処が出来たはずだ。

 だが、相手は5人。しかも、データベースによれば、この5人は、一人でも玲子たんを押さえつけられる。

 屈強な男子だ。


 しかし、僕は。勝利を確信し、前に歩み出る。

 理性の無い人間など、僕にとってはいないも同然だからだ。

 

 「怪我の功名って奴かな? まぁ、僕は、怪我なんてしないけどね」

 「え? その声、岳君?」


 奴らは、雄たけび上げながら僕に襲い掛かった。

 考えも何も無い、ただ、飛び掛って来ただけだ。

 彼らが意識を持ち、考えて攻撃を仕掛けてきたのであれば、僕は対処出来なかっただろう。

 

 だが、今回は問題なかった。僕は、最初に掴みかかって来た相手の両脇を掴み、彼を固定してその場で回転を始める。

 勢いよく振り回された彼の脚は、残りの4人を弾き飛ばし、ボキリと音を鳴らす。

 その音に、僕は顔を顰める。しかし、状況が状況だけに同情している余裕は無い。

 

 最後に、遠心力を利用して、倒れこんだ二人に彼をぶつける。

 彼らは、呻き声を上げて、動かなくなった。

 残りの二人を片付けようと、僕はふらつく身体に鞭を撃つべく頬を強く叩く。

 

 しかし、その必要は無かったようだ。

 彼らは、不機嫌な顔をした、玲子たんの踵を頭にくらい、動かなくなった。


 「やぁ、玲子たん。無事でなによりだよ。ところで、その格好は。イメチェンかい?」

 「そんな訳無いでしょ! とりあえず、何か、着る者を貸して貰える?」


 そう言って、彼女は、頬を赤く染めた。

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