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源流堂探偵事務所にようこそ  作者: 西渡島 勝之秀
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魔境の復讐 17

 僕は何時もの様に、黄昏時が終わるのを、自慢のスペシャルオリジナルブレンドコーヒーを飲みながら眺める。

 今日は明氏を戦場に送り出したが、そんな日でも、僕の習慣は変わることは無い。

 友人が危険なのに、何故そんなに呑気なのか? だって? それはもう、信じているからとしか言えないね。


 いや、厳密に言うのであれば、彼がこの世ざる者と戦う時、残念ではあるけど、僕は、彼を助けることは出来ない。

 だから、日常と何かを変える事は無い。昔の僕ならば、こういった時はオロオロして、無意味に時間や体力を消耗していた事だろう。

 でも、今の僕は、その様な無駄な事はしない。彼と出会って、変わったからだ。


 日が沈み、薄明を迎えた時に、それは起こった。

 何も無い空間に亀裂が走り、ビキビキと音を立て始めたのだ。

 これには、流石に僕も焦った、とはいえ、何かが出来るわけでは無いのだ。

 僕は、それを観察し、何かが起こるのを待ち続けた。


 そして、その時は、遂に来た。ガラスにヒビが入るように、空間にいくつもの亀裂が走り、それらは限界を迎えたように、パリン! と、音を立てて、砕けたのだ。


 「こ、これは、どういうこと?」


 思わず、独り言を言ってしまった。

 そして、異変は起こりだした。先ずは、周りの空気と共に、匂いが変わり始めた。

 独特の鼻につく香り、男性ならば馴染み深い、性的な行為をした後に、己が出す匂いだ。


 僕は、その匂いに、顔を顰める。正直、嗅いでいて気分が良いものでは無い。

 そして、辺りに、無数の人の気配と、女性のすすり泣きが聞こえてくる。


 「ちょ、何これ? 幽霊? 流石に、怖いんですけど......」


 暫くして、その声の主達は、その正体を現した。

 彼女達は、全員が同じ衣装に身を包んでいた。まぁ、衣装と呼べるかは分からない代物ではあったけど。


 彼女達は、股を開くように手足を縛られ、虚ろな瞳で泣いていた。

 全身は、白い液体で汚され、不快な匂いを放っていた。

 その光景を見れば、彼女達がどういった扱いを受けたのか、言うまでもない。

 そして、僕は彼女達をじっくり観察する。


 当然ではあるが、一応、僕の名誉の為に言っておこう。

 彼女達の、あられもない姿が見たかった訳ではない。以前にも語ったが、僕は、3次元の女性には興味は無い。

 これは、大事なことだ。2次元の嫁だけを愛する僕が、一時の事とは言え、3次元の女性に心を奪われた。

 そう思われることは、非常にもって、心外だからだ。


 僕は、ある事を確認する為に、こうしているのだ。

 結論から言えば、その結果は、僕の予想した通りのものであった。

 彼女達は、先程、学園のデータベースで確認した人物。

 今回の事件の被害者達だった。

 

 と、すれば、これは、前に明氏から聞いた現象、異界融合と言うものなのかもしれない。

 だとすれば、僕にも、出来る事が出来たと言う事だ。

 そして、次の行動に移ろうとした僕は、彼女達の中に、見知った人物を見つけてしまった。


 「な、なんて事だ......」

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