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第9話 首元の跡
夜。
ソファで猫がくつろいでいる。
主人公
何気なく撫でる。
白い短毛は、相変わらずなめらかで綺麗だった。
主人公
「ほんと、毛並みいいよね」
猫
目を細める。
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そのまま首元に手が触れる。
主人公
「……ん?」
指が止まる。
白い毛の下。
うっすらと
輪のような跡。
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主人公
「これ……」
少し毛をかき分ける。
やっぱりある。
細く、うっすらとした線。
主人公
「首輪……してた?」
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猫
じっとこちらを見る。
何も言わない。
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主人公
「外猫じゃないの?」
猫
小さく
「…にゃ」
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主人公
「誰か飼ってたとか……」
猫
目をそらす。
そして
ゆっくりと立ち上がる。
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ソファから降りて
少し離れる。
尻尾だけ
ゆら。
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主人公
「……聞かれたくない感じ?」
猫
無反応。
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少しの沈黙。
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しばらくして
猫
戻ってくる。
そして
当たり前みたいに
膝の上。
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主人公
「さっきの話は終わり?」
猫
目を閉じる。
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主人公
「名前、つけさせてくれたら教えてくれる?」
猫
無反応。
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主人公
「……やっぱりダメか」
猫
小さく
「…にゃ」
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結局、今日も
この猫は何も教えてくれない。




