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第10話 箱の中の猫
宅配の段ボールが届いた。
中身を出して、空いた箱を床に置く。
その瞬間。
猫
じっ
主人公
「……入る?」
猫
無言。
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少し目を離した隙に
もう入っていた。
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主人公
「早くない?」
猫
箱の中で丸くなる。
サイズはぴったり。
むしろ少しきつそう。
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主人公
「それ、小さくない?」
猫
無言。
ぎゅうっと収まっている。
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主人公
「もっと大きい箱あるよ?」
猫
ちらっと見る。
でも動かない。
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主人公
「そこがいいんだ」
猫
小さく
「…にゃ」
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しばらくして
猫
箱の中で向きを変えようとする。
ごそ、ごそ
少し詰まる。
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主人公
「ほら言ったじゃん」
猫
何事もなかった顔で体勢を整える。
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主人公
「絶対ちょっと無理してるよね」
猫
無反応。
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そのまましばらく箱の中。
完全にくつろいでいる。
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主人公
ソファに座る。
猫
しばらくして
箱から出る。
そして
当たり前みたいに
膝の上。
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主人公
「箱じゃなくていいの?」
猫
目を閉じる。
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主人公
「名前、箱にしようか」
猫
無反応。
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主人公
「ダメか」
猫
小さく
「…にゃ」
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結局
この猫は箱にも入るけど、名前は決めさせてくれない。




