第25話 ちょっとだけ違う
夕方。
オレンジの光。
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主人公
「……眠い」
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ソファに座る。
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猫
もういる。
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主人公
「早いね」
猫
無言。
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いつもより少しだけ
近い位置。
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主人公
「その距離珍しくない?」
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猫
動かない。
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主人公
「まあいいけど」
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そのまま
ぼんやりする。
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少しして
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主人公
「……」
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なんとなく
視線。
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リビングの入り口。
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何もない。
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主人公
「……見すぎだな」
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目をそらす。
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猫
ゆっくり動く。
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主人公の足に
少しだけ触れる。
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主人公
「……え」
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猫
そのまま。
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主人公
「今日どうしたの」
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猫
無言。
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でも
離れない。
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主人公
「珍しいね」
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猫
「…にゃ」
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主人公
「甘えてる?」
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猫
無反応。
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でも
触れたまま。
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しばらくして
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主人公
「……ねえ」
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猫
ぴく
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主人公
「こういう時くらい——」
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猫
すっと離れる。
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主人公
「あ、まだ何も言ってないけど」
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猫
距離を取る。
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主人公
「わかりやすいなぁ」
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でも
少しして
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猫
また戻ってくる。
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同じ位置。
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主人公の足元。
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主人公
「そこは戻るんだ」
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猫
「…にゃ」
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主人公
「条件付きか」
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夕方の光が少しずつ落ちる。
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部屋が暗くなる。
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主人公
「電気つけるか」
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立ち上がる。
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スイッチへ。
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その途中。
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ふと
足が止まる。
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例の場所。
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何もない。
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でも
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主人公
「……」
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少しだけ
遠回りする。
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電気がつく。
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明るい部屋。
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主人公
「……普通」
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振り返る。
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猫
こっちを見ている。
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主人公
「なに」
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猫
無言。
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でも
少しだけ
目が合う。
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主人公
「……」
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視線をそらす。
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主人公
「別に何もないよね」
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猫
「…にゃ」
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主人公
「だよね」
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結局
今日はいつもより少しだけ近かったけど、何が違うのかはよくわからない。
ただ
なんとなく、あの場所だけは避けている。
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そして
この猫は相変わらず、名前の気配だけはちゃんと察して距離を取る。




