第23話 そこにいるもの
夜。
静か。
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主人公
「……またあそこ?」
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視線。
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部屋の入り口。
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何もない。
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でも
なんとなく気になる。
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主人公
「気にしすぎか」
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ベッドに入る。
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電気を消す。
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少しして
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猫
今日は早い。
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主人公
「来るの早いね」
猫
無言。
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でも
いつもと違う。
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主人公とドアの間に座る。
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主人公
「……そこ?」
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猫
動かない。
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主人公
「今日はそっちなんだ」
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猫
じっと前を見る。
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主人公
「……」
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同じ方向を見る。
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何もない。
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主人公
「昨日の続き?」
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猫
無反応。
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しばらく沈黙。
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主人公
「ねえ」
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猫
ぴく
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主人公
「何があるの」
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猫
ゆっくりしっぽを動かす。
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でも
視線は外さない。
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少しして
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猫
すっと立ち上がる。
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一歩前へ。
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ぴたっ
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止まる。
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主人公
「……やっぱそこなんだ」
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猫
低く
小さく
「……にゃ」
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主人公
「……今のちょっと違くない?」
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猫
そのまま
もう一歩出ようとする。
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ぴたっ
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止まる。
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少し間。
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猫
くるっと向きを変える。
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主人公の方へ。
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そのまま近づく。
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いつもより近い。
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ぴたっ
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くっつく。
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主人公
「……どうしたの」
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猫
無言。
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でも
離れない。
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主人公
「行かないの?」
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猫
動かない。
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主人公
「……行けないのか」
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猫
小さく
「…にゃ」
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そのまま
しばらく。
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主人公
「……そっち見てるとさ」
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猫
ぴく
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主人公
「なんかいる気がするんだけど」
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猫
無反応。
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でも
少しだけ
主人公に寄る。
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主人公
「……やめてよ」
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小さく笑う。
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でも
目はそらす。
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そのまま
時間が過ぎる。
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猫
ずっと
同じ位置。
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主人公
「……ねえ」
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猫
ぴく
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主人公
「こういう時くらい」
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少し間。
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主人公
「名前あってもよくない?」
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一瞬。
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猫
ぴたっ
動きが止まる。
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主人公
「……あ、だめ?」
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猫
すっと離れる。
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主人公
「そこは守るんだ」
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猫
無言。
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でも
また元の位置へ。
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ドアと主人公の間。
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主人公
「……戻るんだ」
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猫
「…にゃ」
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結局
この猫は何かを気にしているみたいだけど、それが何かは絶対に教えてくれない。
でも
少なくとも
間に入るくらいには、関係はあるらしい。
そして
そんな時でも名前だけは絶対に譲らない。




