第19話 呼び方の問題
昼。
部屋に光が入る。
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主人公
「……暇」
ソファに寝転がる。
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少しして
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視線。
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主人公
「……いるね」
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猫
テーブルの上。
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主人公
「そこいいんだっけ」
猫
無言。
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主人公
「まあいいけど」
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少し間。
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主人公
「ねえ」
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猫
しっぽだけ動く。
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主人公
「呼びたいんだけど」
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猫
無反応。
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主人公
「名前ないと不便なんだよね」
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猫
ゆっくり目を閉じる。
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主人公
「無視か」
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起き上がる。
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テーブルの近くへ。
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主人公
「じゃあさ」
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猫
ちらっと見る。
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主人公
「仮でいいから」
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猫
目を細める。
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主人公
「“ねこ”」
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一瞬。
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猫
無反応。
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主人公
「だめか」
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主人公
「じゃあ——」
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猫
すっと立ち上がる。
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主人公
「あ、逃げるやつ?」
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猫
テーブルから降りる。
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主人公
「まだ何も言ってないけど」
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猫
距離を取る。
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主人公
「察しがいいね」
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少し追いかける。
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主人公
「じゃあ呼び方どうするの」
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猫
止まる。
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振り向く。
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主人公を見る。
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少し間。
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猫
「…にゃ」
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主人公
「それ私が言うやつじゃないでしょ」
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猫
無言。
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そのまま歩き出す。
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主人公
「“おい”?」
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猫
しっぽだけ動く。
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主人公
「違うか」
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少しして
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猫
ソファに飛び乗る。
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主人公の隣。
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主人公
「来るんだ」
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猫
普通に座る。
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主人公
「呼べないのに来るんだ」
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猫
「…にゃ」
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主人公
「都合いいなぁ」
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少しして
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主人公
「じゃあさ」
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猫
ぴく
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主人公
「呼ばなくても来るなら——」
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猫
じっと見る。
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主人公
「やっぱ名前いらない?」
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少し間。
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猫
ゆっくり目を閉じる。
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主人公
「肯定?」
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猫
無反応。
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でも
動かない。
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主人公
「……まあいいか」
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そのまま
隣にいる。
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主人公
「不便だけど」
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猫
「…にゃ」
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結局
この猫は呼ばなくても来るけど、名前だけは絶対に受け入れない。




