第17話 いつもの距離
夕方。
少しだけ涼しい風。
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主人公
「今日はちょうどいいかも」
窓を少し開ける。
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部屋の中。
静か。
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ソファを見る。
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猫がいる。
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主人公
「そこなんだ」
猫
無言。
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丸くなっている。
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主人公
「ベッドじゃないの?」
猫
動かない。
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主人公
「まあいいけど」
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しばらくして
夜。
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電気を消す。
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ベッドに入る。
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主人公
「今日は来ない日かな」
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少し間。
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物音。
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主人公
「……」
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止まる。
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でも
何も続かない。
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主人公
「……気のせいか」
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目を閉じる。
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しばらくして
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ベッドが少し沈む。
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主人公
「来た」
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横を見る。
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猫
いつの間にかいる。
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主人公
「普通に来るんだ」
猫
無言。
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少しだけ距離をあけて座る。
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主人公
「今日はその距離?」
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猫
動かない。
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主人公
「ちょうどいいけど」
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しばらく沈黙。
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主人公
「……昨日さ」
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猫
ぴく
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主人公
「なんでもない」
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猫
何もなかったみたいに座る。
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主人公
「聞かない方がいいやつでしょ」
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猫
小さく
「…にゃ」
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主人公
「だよね」
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少しして
主人公、横になる。
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猫
少しだけ近づく。
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でも
ぴたっとは来ない。
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主人公
「そのへんが好きだね」
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猫
無反応。
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そのまま
静かな時間。
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主人公
「……そういえば」
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猫
耳だけ動く。
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主人公
「名前、まだだったね」
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一瞬。
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猫
すっと立ち上がる。
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主人公
「あ、やっぱり」
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猫
少し距離を取る。
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主人公
「条件反射みたいになってるじゃん」
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猫
そのまま座り直す。
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主人公
「じゃあ呼ぶ時どうするの」
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猫
無言。
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主人公
「“おい”?」
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猫
しっぽだけ動く。
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主人公
「失礼か」
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少しして
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主人公
「……まあいいか」
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猫
ゆっくり目を閉じる。
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主人公
「そのうちね」
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猫
「…にゃ」
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結局
この猫はいつも通りの距離に戻ったけど、名前だけは相変わらず許してくれない。
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