第16話 気配の理由
夜。
静か。
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主人公
「……涼しい」
今日は少しだけ過ごしやすい。
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ベッドに入る。
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猫は——
まだ来ていない。
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主人公
「今日はどっちかな」
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目を閉じる。
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しばらくして
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音。
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かすかに
床がきしむ。
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主人公
「……来た?」
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目を開ける。
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誰もいない。
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主人公
「気のせいか」
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もう一度目を閉じる。
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少しして
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ぴたっ
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腕に何かが触れる。
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主人公
「……来てた」
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視線を向ける。
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猫
もう隣にいる。
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主人公
「いつの間に」
猫
無言。
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主人公
「音しなかったけど」
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猫
動かない。
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しばらくして
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主人公
「……さっきの音なに?」
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猫
無反応。
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主人公
「ドアじゃないよね」
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少し間。
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猫
ゆっくり目を開ける。
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主人公を見る。
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主人公
「……何」
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猫
そのまま視線を外す。
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部屋の隅。
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何もない。
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でも
さっきの音がしたあたり。
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主人公
「……」
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猫
小さく
「…にゃ」
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主人公
「気にするなって?」
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猫
無言。
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でも
そのあと
少しだけ
主人公に近づく。
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主人公
「珍しいね」
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猫
動かない。
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主人公
「……守ってるつもり?」
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猫
反応なし。
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しばらくして
主人公、目を閉じる。
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その直前。
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もう一度だけ
視線を部屋の隅へ。
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何もない。
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朝。
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目を覚ます。
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猫は
いつも通り
真ん中で寝ている。
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主人公
「……いつの間にそこ行ったの」
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猫
無視。
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主人公
「昨日さ」
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猫
耳だけ動く。
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主人公
「なんか音しなかった?」
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猫
ゆっくり目を開ける。
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主人公を見る。
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少し間。
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猫
「…にゃ」
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主人公
「……気のせい?」
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猫
目を閉じる。
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主人公
「都合いいなぁ」
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少しして
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主人公
「じゃあさ」
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猫
無反応。
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主人公
「そういう時用の名前つける?」
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一瞬。
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猫
すっと起き上がる。
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主人公
「あ、やっぱダメか」
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猫
そのままベッドから降りる。
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主人公
「そこまで嫌?」
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猫
振り向かない。
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でも
ドアの前で一度止まる。
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小さく
「…にゃ」
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そのまま出ていく。
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結局
この猫は、何か知っていそうな時ほど何も教えてくれない。
そして名前の話をすると、ちょっと距離を取る。
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