第14話 寒い日の理由
朝。
いつもより空気が冷たい。
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主人公
「……寒い」
布団に入っても、足が冷たい。
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しばらくして
部屋のドアが少しだけ開く。
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猫が入ってくる。
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主人公
「珍しいね、朝から」
猫
無言。
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ベッドに飛び乗る。
ためらいなし。
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主人公
「え、来るの?」
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猫
そのまま布団の中へ。
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主人公
「ちょ、ちょっと——」
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ぴたっ
腕にくっつく。
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主人公
「……近い」
猫
動かない。
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主人公
「今日やけに積極的じゃない?」
猫
無反応。
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でも
離れない。
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主人公
「……寒いだけでしょ」
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少し間。
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猫
小さく
「…にゃ」
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主人公
「否定はしないんだ」
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そのまま
しばらく動けない。
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主人公
「……あったかい」
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猫
寝たふり。
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主人公
「これ、毎日寒くていいかも」
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猫
しっぽだけ少し動く。
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少しして
主人公、ぼんやり呟く。
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主人公
「こういう日はさ——」
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猫
動かない。
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主人公
「名前、つけてもいい気がするんだけど」
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一瞬だけ
猫の耳が動く。
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主人公
「“あったかいから来るやつ”って長いな…」
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猫
ぴたっ
一瞬だけ距離が離れる。
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主人公
「え」
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猫
そのまま少し位置をずらす。
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主人公
「……拒否?」
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猫
無言。
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でも
もう名前の話をすると
それ以上近づいてこない。
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主人公
「わかりやすいな…」
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結局
また少し距離を詰めるのは
主人公の方。
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猫
何事もなかったように
「…にゃ」
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結局
この猫は寒い日はくっつくけど、名前の話になると少しだけ離れる。




