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第12話 外を見る猫
夜。
部屋の電気を落として、ソファに座る。
猫がいない。
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主人公
「……あれ?」
ふと窓の方を見る。
猫がいた。
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カーテンの隙間。
外をじっと見ている。
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主人公
「何見てるの?」
近づく。
猫
少しだけこちらを見る。
でもすぐに
また外へ視線を戻す。
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雨が降っていた。
静かに。
あの日みたいに。
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主人公
「外、好きなの?」
猫
無言。
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しばらく並んで外を見る。
街灯に照らされた雨。
誰もいない道。
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猫
小さく
「…にゃ」
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主人公
「帰りたいとか?」
猫
反応しない。
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主人公
「元の家とか、あるのかな」
猫
じっと外を見る。
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少しの沈黙。
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やがて猫は
くるっと向きを変える。
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そして
当たり前みたいに
膝の上。
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主人公
「……やっぱり帰らないの?」
猫
目を閉じる。
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主人公
「名前、つけてもいい?」
猫
無反応。
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主人公
「帰るならつけないけど」
猫
小さく
「…にゃ」
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主人公
「どっち?」
猫
無言。
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結局
この猫がどこから来たのかは分からないまま、
今日も名前は決めさせてくれない。




