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転生対決~神々に巻き込まれた魂たち~  作者: ヨロヌ
弁護士『ドゥーシュ』 対 無職『シンゲツ』

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27/30

マーサは気づくと…


「な、なんだぁ……ありゃあ」


「どうして、こんな事に」


この世のものとは思えない光景を目の当たりにした冒険者たちが、口々に言う。

I連合国。

否、正確には()()()場所で人々は絶望する。

中には、苛立ちの感情を抱きながら怒声を吐く者もいた。


「くそ! アイツ、一体何をしやがったんだ!!」


「あのシンゲツとかいう奴をぶっ飛ばす前に、俺達を始末するつもりか!?」


彼らは『33』名の転生者に含まれる『10』名。

彼等のそれぞれ経緯は異なり。共に行動する数名や単独であったり、スタンスはバラバラだったものの。

『コスモツリー』の事件から、シンゲツの動向を探る過程で、不審な動きをしているドゥーシュの存在を捕捉していた。

ただ、彼らはクリスティとは異なり、ドゥーシュと直接接触はせず。

彼らを監視し、隙をついてシンゲツを狙う魂胆だった。


最早、シンゲツは無暗に突撃して叶う相手ではないと判断しない方がおかしい。

転生者たちは慎重にシンゲツへ挑むようになった。

故の監視だった訳だが――I連合国のギルドから一匹の巨大な狼が顕現した事により、事態は急変する。


――ルオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


咆哮と共に、巨大な狼『フェンリル』が暴走する。

そんな『フェンリル』を制止しようと『マタタビ』が『フェニックス』が『バハムート』が。

次々に美女・美少女の姿を止め、獣の姿となっていく。


「フェン! 駄目だ、フェン!! 落ち着いてくれ!」


アレンが『動物使い』のスキルを行使する。

今まで、シンゲツもといニノマエたちから吸い上げた経験値で、アレンのスキルレベルは劇的なものと化していた。

フェンリルの動きは止まっている。

しかし、フェンリルが正気に戻る様子はない。

それどころか、アレンのスキルを無視して、ドゥーシュたちに攻撃を仕掛けようとしている。


『貴様ら、一体何者だ!? 我の予言にはこのような光景はなかったぞ! 規格外の刺客か!』


バハムートの言葉通り、転生者であるドゥーシュたちは本来、この世界にいない存在。

それこそ、ニノマエと同じ不純物なのだ。

故に、バハムートの予言を破壊する。

運命の破壊者とも呼べる存在で間違いない。

ドゥーシュはクリスティの聖女の能力で守られながら、必死に説得した。


「だから話を聞け! シンゲツから『アイギス』を取り返せば、アレンを無罪放免にしてやると!!」


『ダレガ……シンジルカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』


ドゥーシュが想定外だったのは、アレンではなくフェンリルの人間不信さだった。

フェンリルは助けて貰ったアレンを信用しているが、それ以外の人間は信用していない。

むしろ、人間からは不遇な扱いを受けて来た。


「っ……! うわあああああ!!!」


アレンが何かに弾き飛ばされたように吹っ飛ぶ。

フェンリルの力が、暴走が、スキルの抑止力を越え、アレンは反動で意識を失う。

暴走状態のフェンリルを止めようと、クリスティが守りや精神干渉を行使するが、全く歯が立たない。

それどころか、フェンリルの攻撃はドゥーシュやクリスティだけでなく、直線上を全て巻き込むエネルギー砲を口から吐き出されるものだった。


『フェンちゃん! 駄目ええええええええええええ!!!』


『マタタビさん! 私と共に!!』


マタタビとフェニックスが守りと癒しの力で、エネルギー砲に立ち塞がる。

そして――





犠牲となった多くの人々を生き返らせようとフェニックスが能力を行使した結果。

彼女は燃え尽き、灰となって、そこから小さな雛が産声を上げていた。

フェニックスは死んだ事でアレンのテイムが解除しており、いつの間にか誰かが雛を回収してしまった。


マタタビはフェンリルの攻撃を防ごうと守りの能力を行使した結果。

力を使い果たして、老いぼれた普通の猫となって倒れ伏している。

最早、何の能力もないマタタビは人の姿にすらなれない。


バハムートはフェンリルと死闘を繰り広げた結果。

双方同士打ちとなった。


最終的にI連合国の国土が3分の1程、消失してしまった。

フェニックスが多くを生き返らせたものの、全ての人間を生き返らせる事は叶わなった。

運が悪い事に、ドゥーシュとクリスティを含む『12』名の転生者たちはフェンリルの攻撃に巻き込まれ、生き返らず。


幸い、アレンは奇跡的に無事だった。

だが、今回の件、シンゲツの件も含め『動物使い』として無責任な行いをしたと判断され、国に拘束――気絶したままだったので『搬送』される事となる。


そして――


『ああ……なんて事なの。死んでしまったわ!? 私!!!』


何とマーサは巻き込まれて死んでしまった。

本当の本当に巻き込まれ事故という形で。

しかも、フェニックスの力で肉体は蘇らず、魂だけになっていた。


『……でも。大丈夫ね。いえ、死んでしまったから大丈夫も何もないのだけど! ……それでも。むしろ、これなら』


ただ。

マーサも死んだ事で逆に冥府神の、エレシュキガルの能力の断片を発揮できるようになったのだ。


『凄い……わかるわ。ニノマエの魂の位置が分かる! よし!! 「屍術師(ネクロマンサー)」が来ない内に……!!』


最後に。

マーサも、アレンも、I連合国にいた誰もが、すっかり見落としていた。

最強武器『ムゲン』の所在を。



転生者 残り『9』名。

評価やブクマ、リアクション等してくださった皆様、ありがとうございます。

物語がようやく折り返しに到達しました。

また、作品タイトルを変更し、分かりづらくさせて申し訳ございません。

こんな感じですが、最後まで読んで頂けると幸いです。

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