第4話 ブーメランVSニンジャお嬢さまですの♥
王都ギルド〈真銀の風〉主催、年に一度の模擬戦大会。
貴族も平民も入り乱れ、観客席は熱気に包まれていましたの。
「本戦出場者、セレスティア・アーデンベルク嬢――対するは、
東方公爵家の令嬢にして、忍びの末裔――アヤメ・ツバクラ嬢!」
黒髪を結い上げ、目元を覆った少女が舞うように壇上へ。
その背には無数の手裏剣、そして腰には――短銃。
「……チャカ、持ってますのね」
「心得の一つですわ。ニンジャは、時代を選ばないもの。」
「貴族社会に弾丸は似合いませんの♥」
「毒も同じでしょう?」
互いに微笑んだ。
その笑みの奥に――“それを使えば終わる”という理解がある。
だからこそ、どちらも引き金を引かない。
己の技が通じる世界だけを信じていた。
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鐘の音。開戦。
「風よ――粉塵爆発・黒花!」
アヤメの爆炎が空を割く。
私のブーメランはその中を疾走し、軌道で炎を裂いた。
火花が交差。
手裏剣とブーメランが互いの風圧を読み合う。
「貴女のブーメラン、まるで生き物ね」
「そちらの爆発も花のように咲き誇ってますの♥」
空気が震えるほどの一瞬。
――だが二人とも、“もう一段階上”の手を封印したまま。
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煙が晴れ、互いに笑みを交わす。
「本気を出せば、どちらかが死にますのね」
「ええ。だから今日は、引き分けにいたしましょう。
……また、生きて再戦できるように。」
「よろしいですの♥ 私のブーメランは必ず帰ってきますの。
――その時、あなたの影をもう一度見つけますわ。」
アヤメは手裏剣を回しながら微笑んだ。
「影は、光を追うものですもの。楽しみにしてますわ。」
観客席が沸き立つ。
勝負は決着しない。
だが、この瞬間から二人の軌道は、同じ空を描き始めた。




