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星屑の傭兵  作者: 磯野海月
第1章
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コロニーでの激闘 その4

シュタリア戦線。ここはアステロイドの国家グリーン・サイトと火星の国家ゲルトリアが、領有権をめぐって8年間もの間争ってきたエリアだ。現在は講和会議が両国の間で行われるため、両国が軍を引き上げている。


「ティロールの予測通り、アースユニオンがしゃしゃり出て来たわね」

艦長席の横に立って、戦艦ゴールデン・スピアを指揮しているのは、ナオミ・マガダーン。この船の艦長でティロールの妻でもある。


「ノーマにつなげて」

回線を接続すると、ナオミの前の平面ホログラフ・ディスプーが空に浮かび上がり、そこにブロンドの女性が、映し出された。

「待ちくたびれたわ~」

「ノーマ! 爪なんか磨いていないで、よく聞きなさい。ポイントA-30に敵アースユニオン艦隊出現。戦力データはそっちに送った通りよ。ゴールデン・スピアは3分後に敵艦隊側面に出て、援護攻撃を30秒間行うから。その後あなたのローズ・パイパーはフィヨリーナのティンクラーと共に艦隊中央を突破、後方からヘッジホッグ・キャノンで敵を攻撃。敵の損害が30%を越えた時点で攻撃終了。分かった?」


「なによ、ぜんぜん変更なんかないじゃない。分かってますって」

「あなたは、それがあてにならないから、言っているんじゃない! くれぐれもやりすぎないこと! あなたの攻撃する方向には、民間の施設やコロニーがあるんだから」


「大丈夫よ、あたしにまっかせなさい!」

ノーマは通信を切った。

・・・心配だわ。だからフィヨリーナを付けたんだけど。いくらシャドウの御墨付きとは言え、フィヨリーナはこれが初めての実戦なんだから。


「時間ね・・・」

ナオミは小惑星の陰から、ゴールデン・スピアを発進させた。

「防御シールド最大出力で展開、 主砲一斉発射準備」


 この世界の防御シールドは進行方向に対してクラゲの傘のように展開し真後ろからの攻撃に弱いという特徴がある。


ゴールデン・スピアがアースユニオン艦隊の側面に出た。

「撃て!!」

ゴールデン・スピアから発射されたレールガンの高速実体弾が、アースユニオン艦隊の側面を襲う。しかしこの角度では、バリアーを突破できる弾丸は少ない。ほとんどが弾かれる。

「敵の反撃来ます」

ドドッドドドッド!!

ゴールデンスピアに敵の砲撃が浴びせられ、雷の音のような、バリアの干渉波が船体に響く。


「それじゃ! 行くとしますか・・・」

アサルトマシーン・ローズパイパーは。巨大な薔薇の花のような形の、プラズマ・ロケット・ノズルを開くと、エンジンを一気に全開にした。


「あの子、ついてこれるかしら?・・」

ローズ・パイパーはアースユニオン艦隊の中央に、最大加速で突入する。


ローズパイパーの斜め後方に、フィヨリーナのアサルトマシーン・ティンクラーがぴったりと伴走し、ローズパイパーの後方から攻撃をしかけてくる、敵のアサルトマシーンを撃墜していく。


「へー! 結構やるじゃない」

1分もかからずに、ローズパイパーとティンクラーは敵艦隊の中央部を突破し、敵の真後ろに出る。


「ウッフッフ・・・。これからが本番ね。ヘッジホッグ・キャノン、オープン」

ノーマは嬉しそうに笑っている。クイーン・オブ・デストロイヤー(破壊の女王)。きっとそのニックネームにふさわしい心境なのだろう。


ローズパイーパーは制動をかけて停止し。そのちょうど茎にあたる部分の周囲に、針の山のように林立するレールガンの砲列が、怒れるヘッジホッグ(ヤマアラシ)の如くバッと逆立つ。


「ファイヤー!!!」

シュドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!

ヘッジホッグ・キャノンは、ローズパイパーの茎の周囲を一列ごとに左右交互に回転しながら、シャワーのように間断無く、ソリッド(高速実体弾)の雨を、アースユニオンの艦隊に後方からおみまいする。


「イケー!どんどんイケー!もっとーイケー!」

防御シールドは、後方からの攻撃に極めて弱い。

ノーマは上機嫌だ。アースユニオン艦隊は次々と被弾していく。


「もう、これくらいで十分だわ!ノーマに攻撃をやめるように言いなさい!」

ナオミは大きな声で言った

「それが!ダメです!ローズパイパーの通信システムに異常が発生したらしくて・・・」

「わざとね!きっと」


  当の本人はそんなことには、まったくお構いなしだ。

「どんどんイケー!!!!!・・・アラ?何やってるのあの子」

ヘッジホッグ・キャノンから発射されるレールガンのソリッド(砲弾)

を、20発に一発の割合くらいで、ティンクラーがビーム砲で撃ち落としている。


「艦長! ティンクラーが、ヘッジホッグ・キャノンの目標をそれた、危険な弾をビームで追撃してくれています」


「助かったわ!! フィヨリーナにノーマを止めさせるように言って」

「了解」


・・・でも、何て恐ろしい子なの、ミサイルならまだしも、秒速3kmで飛んでる砲弾を、完璧に撃ち落とすなんて。あの子もシャドウと同レベルのモンスタークラスかも。


 ヘッジホッグ・キャノンの砲撃はとぎれなく続く。フィヨリーナの行為を、ノーマは自分が邪魔をされているように思えて腹が立ってきた。


「チョットー!! フィヨ!!あたしに何か、文句あるわけ!? ン?? 通信がうまく繋がらないの?」


  ノーマはレーザー通信に切り替えてみたが、こちらもうまく繋がらない。

「ヘッジホッグ・キャノンのせいかな?・・・」


 ノーマが通信システムのチェックを始めると、フィヨリーナのティンクラーがヘッジホ

ッグ・キャノンの砲弾の雨の中に飛び込んだ!


「ワァァァ!!! 何てバカなことすんの!!」

ノーマは慌てて、ヘッジホッグ・キャノンを緊急停止させる。

防御シールドを展開しているとはいえ、ティンクラーは数十発の砲弾がかすめ多少のダメージを負った。


「ノーマさん。艦長から、攻撃停止の命令です」

通信システムが回復し、フィヨリーナからの通信がノーマに入った。

「あなた!! 大丈夫!? なんて無茶するのよ!!」


「私は平気です。ティンクラーはダメージがありますが」


 ノーマは、モニターに映ったフィヨリーナの何事も無かったかのような表情を見て、気味が悪く感じた。


 ゴールデン・スピアのナオミから二人に通信が入る。

「通信がやっと回復したようね。アースユニオンの艦隊は撤退を始めたわ。御苦労さん! と言いたいところだけれど、ノーマには話しがあるから、後でブリッジまで来るように」

・・・やっぱり、マズかった。

ノーマはヒクヒクと眉を痙攣させた。

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