スペクターのボディ狙撃包囲作戦
タワーズでは、ゴールデ・ンスピアとイーフリートと鉄龍の傭兵たちが、深夜に緊急招集され、第2作戦会議室に集まっていた。
「状況は説明した通りだ。最悪の事態も想定して、諸君に集まってもらった」
「バロン! 質問がある」
「猛虎か」
「今この場に、うちのおやじと、キャプテン・フェノメナがいるのに、どうしてゴールデン・スピアのキャプテン・シャドウがいないんだ?
こりゃおかしいじゃねえか!」
「そのことに関しては、この私がキャプテン・シャドウの代わって、わびる。すまない! 今キャプテンはタワーズのある場所から絶対動けない状態にある」
バロンは全員の前で深々と頭を垂れた。
「それじゃ、答えになってないぜ! ちゃんと説明してくれ」
有給休暇中の猛虎は、まだ納得しない様子だ。
「ううむ・・」
バロンは返答に窮する。
「こら! 猛虎! 人にはどうしようもない都合ってものがあるね! それを根堀歯堀訊くのは野暮ね! いいかげんにするよろし!」
鐘馗にピシャッ! と言われ、猛虎は不満を残しつつ、押し黙った。
「今、ウェル2のヤンから通信が入った。どうやら、アースユニオンの破壊工作員が、スペクターのボディーを装備したらしい」
フェノメナの報告に会場がざわめく。
「ウーン! やむを得ない状況だな。それでは、ミッションの説明に入る」
ティロールが立ち上がり、壇上に投影されたホログラフディスプレーをトレースしながら話す。
「ええと、今集まっているメンバーのうち、鐘馗大人とレイモンドは、念のためタワーズに残る。
作戦の現場指揮はキャプテン・フェノメナとバロンがとり、ミッションサポートは私、ティロールがやります。
今回のミッションはコロニー内部での戦闘なので、大型兵器や強力な火器は使用出来ません。
スペクターのボディーの性能から、オプションが無い限り、強力な遠距離攻撃はできないはずです。
その代り、敵は近接戦闘においては、スカラー・ショックウェーブを発射することが可能で、無類の戦闘力を発揮します。
詳しいデータは各自渡してありますから、良く目を通しておいてください。
そこで、今回のミッションは、敵サイボーグの頭部を狙った、遠距離狙撃という手法が上策と思われます。
それで、二人一組になって、狙撃チーム組織します。
コンビを組むのは、射撃が得意な者と、接近戦が得意な者の組み合わせで、こちらで決めさせてもらいました」
ティロールは狙撃チームのコンビを、読み上げる。
「まず、キャプテン・フェノメナは単独。アッシュとノーマ。猛虎とマリー・ルイーズ。ジーンとボルフガング。ルーとファイヤー。ザザとバロン多少戦力的にばらつきはありますけれど、この組み合わせがベストだと思います何か質問は?」
「あの~」
「はい、どうぞ。マリー・ルイーズ」
「銃器は、こっちで勝手に選択していいんですかあ?」
「一応、MK-550支給しますけど、自前の物がいい者には、それも許可します」
「良かった。今度、ソーン社のXK-A12買ったんです。前から実戦で使ってみたくてしょうがなかったんだけど、機会がなくて」
「やれやれ、相変わらずマリー・ルイーズはガンお宅ですね。他には?」
「はい」
「ファイヤーさん、どうぞ」
「接近戦なんだが、やつが襲ってきたら、倒せる自信があれば、戦ってもいいんだな?」
「それは、無謀ですよ! 近距離に接近されたら、格闘戦が得意な方が、スナイパーを援護しつつ逃げてください。
その隙を別のチームが狙撃します。
皆さんにくれぐれも言っておきますが、決して接近戦でやりあおうなんて考えないでください。
あのスペクターのボディーの武器である、スカラー衝撃波は、どんなバリアーや装甲でも防御不能です。
距離によって減衰するのが救いですが、まともくらえば、戦闘サイボーグや戦闘BHでもただでは済まないはずです。
その上残念ながら、パワーと戦闘速度も、今この場にいる皆さんでは、たちうちでいないはずです。対抗できるとしたら・・・」
「なんだ? ティロールはっきり言えよ」
「恐らく、なんとか接近戦で戦えるのは、キャプテン・シャドウか、ガルガンチャーのサキューンぐらいでしょう。後は・・・」
「あたしのフルアーマーオプション。それに神経加速剤打って戦えばでしょう」
「そうですね、ノーマさん。
でもご存じのとうり、キャプテン・シャドウは戦闘に参加出来ない状態ですし。
傭兵戦艦ガルガンチャーはミッション中で一月後でないと帰ってこない。
あなたのフルアーマーオプションは破壊力がありすぎて、コロニー内での使用は許可できません」
「まあ、とにかくやるっきゃないわね」
「現状でこれより最善の策はもうないでしょう。
ウェル2にいるインとヤンそして雷風には、敵に見つからないように、マークするように指令しました。
これから、20分後に第11ドックの兵員輸送船A-11で出発します。
作戦で使用する通信用暗号解読コードはこれから配布します」




