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星屑の傭兵  作者: 磯野海月
第3章
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宇宙港警察

「敵は戦闘サイボーグなのか! 鎮圧に向かった戦闘員はどうなった?」

「全滅です。こちらに連絡する余裕もないくらい、アッという間にやられました。

監視カメラも敵の映像を捉える前に破壊されて、敵の情報がつかめません」

「艦長! 今、メディカルルームのドクターから連絡が入りました。この艦に侵入した敵は、ゴールデン・スピアのノーマ・レイと名乗ったそうです。ドクターはこの艦から、先に脱出すると言っています」


「ノーマ・レイ!!」

ボルツ艦長の顔が、引きつった。


「すぐに全員この艦から脱出する。また今回の作戦も失敗だ!」

「まだ判断が早いのでは?・・・」

「早くはない! あいつは私を絶対に殺しに来る! あいつを殺すことは出来ないだろうが、20分後にこの艦を自爆するようにセットして、脱出する。この船が私のスカッツじゃなくて、不幸中の幸いだ」

ボルツ艦長は真っ先にブリッジから逃げ出した。


「マーフィー!!しっかりしてよーー!!」

ロビナは意識のはっきりしないマーフィーに肩を貸しながら、よろよろと通路を歩いている。

艦内はノーマが暴れたせいか、あちこちで火災が発生しているが、自動消火システムも作動せずに、燃えるがままにまかせている。


「ゴホッ、ゴホッ、 マーフィー、大丈夫?」

ロビナは一休みするために、マーフィーを座らせ壁に依りかからせた。


「もうあと少しで、脱出用小型艇のあるところよ。がんばりましょう」

ロビナは再びマーフィーを立たせようとしたが、マーフィーはついに意識が無くなって、壁に依りかかったまま、動かなくなってしまった。


「ア~ン!! マーフィーしっかりしてよ~!! こんなところで寝ちゃったらだめだよ~!!」

ロビナはマーフィーの耳元で大声を出してみたり、頬をつねったりしてみたが、マーフィーには何の反応も無い。


「どうしよう。困ったな~・・・」


・・・このままマーフィーを置いて行くなんて、わたしは出来ない。何かショックを与えれば、マーフィーは気がつくかも。例えば痛みのような・・・。でも、マーフィーに怪我をさせるなんて、いやだし・・・。ものすごく痛いけれど、怪我をしない方法・・・。男の人がものすごく痛がること・・・。


「そうだ!! いいことを思いついたわ! マーフィー、後生だから堪忍してね!」

コキーーーン!!


ロビナは一瞬ためらってから、マーフィーの股間に思い切りパンチを打ち込んだ。

「ウヲォォォーーー!!!!ムムムムム!!! 」

マーフィーはあまりの痛さに、飛び上がり体をくの字に曲げたまま、通路をピョンピョン飛び跳ねる。


「マーフィーごめんなさい!! 大丈夫?」

「あっ、あまり・・大丈夫じゃないけど、目が覚めたよ、あ、ありがとうウサコちゃん」

「マーフィー、わたしの本当の名前はウサコじゃないの。本当の名前はロビナ・ベアトリックス・ヤンセン。隠していてごめんなさい」

ロビナはマーフィーの背中を摩る。

「ロビナちゃんか・・。いい名前だね」

ロビナは少しはにかみ、頬が赤い。


「さあ! 急ぎましょう。もうすぐ小型脱出艇のある、エアロックよ」

マーフィーは内股ぎみに歩きだした。


ロビナとマーフィーはやっとのことで、小型脱出艇のある場所にたどりついた。

「ア~!!! 脱出艇がこわされてる!!」

5隻ほどあった、脱出艇はすべて破壊されていた。これではこの船から逃げ出す手段がない。

「どうなってるの~!? 困ったわ~!」

「ロビナちゃん、とにかく別の脱出の手段を考えたほうがいい」

ロビナとマーフィーは脱出艇を見下ろして考えこむ。

「ロビナー! 元気にしてたー!」


そこにノーマが、何か大きな物を引きずりながら歩いてきた。

「ノーマさん!! 元気はないでしょう! こっちは大変だったんだから」

ロビナはプーっと膨れっ面をして、ノーマを見る。

「あら、ごめんなさい。でも、あなたたちが心配で、ここまでやってきてあげたんだから文句は無しよ」

「ノーマさん、さっき言っていた用事はすんだの?」

「それがねー、ブリッジはあたしが行った時には、もう裳抜けの空でだれもいなかったわ。ボルツたちは、どこか別のルートで脱出した後だったみたい。それとねー、ブリッジを調べたら分かったんだけれど、この船、あと10分くらいで自爆するように、セットされているわ」


「エ~!! そんな~ !!」

ロビナとマーフィーは同時に声を張り上げる。


「ビビロワさん、いや失礼しました。ノーマさん、脱出艇は見ての通り破壊されてしまって、使えませんよ。あなたは宇宙空間でも平気かもしれないけれど、僕とこの子はどうしたらいいんですか!?」

「えーと、君。マーフィーだったけ。心配しなくても大丈夫よ! あたしがこれを、なんとか見つけてきてあげたから」

ノーマは差し渡し2.5メートルほどのカプセルを、マーフィーの前にズズズと引きずり出した。


「これは?」

「見れば、わかるでしょう。かなり年代物だけれど、脱出カプセルよ!あなたたちはこれで、脱出できるわ」

「ノーマさん、これって、一人用でしょう。それに自力で動けないよー。その上、保障期限もとっくに過ぎちゃってるー」


「ロビナ、あんたはチビさんなんだから、詰め込めばマーフィーと二人でも、なんとかなるわよ。二人がこれに乗ったら、あたしがこれを外に放り出してあげる」


「ロビナちゃん、もう考えている余裕はないよ。ノーマさんを信じよう」

「そうそう。美人のお姉さんを信じなさい!」


マーフィーは脱出カプセルのハッチを開いて、中を確認した。

「バッテリーも生命維持装置も生きてる。これならなんとかなりそうだ。ロビナちゃんおいで」

「う、うん・・」

ロビナはちょっとためらってから、脱出カプセルに入る。カプセルは一人用のため、マーフィーとロビナな体は抱き合うように向かい合ってピッタリと、重なる。

「ちょっときついなー」

「気持ちいいでしょ? ロビナ。こんないい少年と、二人っきりで抱き合って、うらやましいわねー」

「アーン。恥ずかしいよー、みんなには内緒にしてー」

「ノーマさん、それじゃお願いします」

マーフィーは内側からカプセルのハッチを閉めた。

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