決着
マリアとマーフィーは第18区画外れの、ジャンク置き場まで戻ってきた。
二機のアサルトマシーンは、マーフィーがその場を離れてから、そのままの状態であった。
「さあ、これを元に戻さなきゃいけませんね」
「わたしはパワードスーツをまた準備してくるから、マーフィーは工具の用意をまたお願いね」
マリアは格納庫に向かった。
マリアはふと、建物の影の暗がりに人の気配を感じる。
背筋に悪寒が走った
「だれか、そこにいるの!?」
カツン、カツン、カッン、カツン。
何者かが、足音を響かせ、ゆっくりとマリアに近づいてくる。
「だれ!だれなの!そこで止まりなさい!止まらないと撃つわ!」
マリアは銃をその人影に向けて構えた。
「忘れたまったのかい?おれだよ・・・」
暗がりから、やっと少し光が差す所に来ると、辛うじて顔が半分だけ見えて来た。
「まさか! ジャッカルなの?!・・・」
「うれしいねー。覚えていてくれて」
ジャッカルはさらに、マリアに向かって歩を進める。
何と!その顔面は、さきほどマーフィーに銃で吹き飛ばされたまま、半分だけの顔だ!
「イヤァァァァァァァァ!!!!!!!」
マリアの叫び声が倉庫内にこだました。
ドッドッドッドッドッド!
マリアは銃の弾丸を残らず、ジャッカルの残った半分の顔面に向けて、発射した。
マリアは弾丸をすべて撃ち尽しても、引き金を引き続けた。
カチカチカチカチカチ。
暗がりに空しく、銃の作動音のみが響く。
ジャッカルは残り半分の顔面も、見分けも付かないほど、ぐちゃぐちゃになって、じっとその場に立っている。
マリアは荒く息をしながら、銃を下ろした。
「今度こそ、死んだの!?」
マリアはジャッカルの近づく。
「もう終わりか?マリアチャン!」
ジャッカルは、突然、動きだしてマリアの両腕をつかんだ。
「イヤァァァァーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
そこへ、今の銃声を聞きつけて、マーフィーが飛び込んで来た。
「ジャッカル!!!!!?」
ジャッカルはマリアの両手首をつかんで、左右に開いたまま、マーフィーの方に向く。
「また会えてうれしいよ。マーフィィィィィー!」
ジャッカルの声は胸のあたりから聞こえてくる。
「ジャッカル!お前は、まさか!・・・胸か!」
「そうだ、やっと気がついたようだな。おれの脳は胸部にある。頭はダミーだ」
「だから、頭部ばかりわざと狙わせたのか」
マーフィーはジャッカルに向けて銃を構えたまま、少しずつ右に回りこもうと、横に足を摺り出した。
ジャッカルはその動きを察知して、体の向きを変えた。
「横から飛び込もうってつもりか? それはさせないね}
ジャッカルは倉庫内の入隅に体を、きっちりくっつけた。
これではマーフィーは、横から攻撃することはできない。
マリアはがっちりと、ジャッカルに抱えられてしまっていて、ジャッカルの胸を撃つにはマリアが障害となっている。
「さすがのバロンも、このおれの脳が胸にあるとは、気がつかなかったようだな。さあ! 銃をおれの足元に投げろ、さもないと、この女を引き裂くぞ!」
「マーフィー!!だめよ!こんなやつに銃を渡しちゃ!いいから私ごと、こいつの胸を撃ち抜きなさい!!」
「おとなしくしろ!」
「キャア!」
ジャッカルはマリアの体を締め付けた」
マリアさんごとジャッカル撃てだって できるわけない・・・
マーフィーはジャッカルの足元に銃を投げた。
「よし!いいぞ、またさっきのような展開になってきたな。だが肝心のバロンは、外でアースユニオンと戦うため、アサルトマシーンで出たばかりだろう。30分は帰ってこれないはずだ」
「マリアさんをどうするんだ!!!」
「馬鹿め!! お前らは何度でも同じ間違いを繰り返すんだな。死ぬんだよ!お前も、この女も!」
「やめろ!!!!!!!」
マーフィーはジャッカルに正面から、飛び掛かった。
ゴスッ!!
「グッ!!!」
マーフィーはジャッカルにミドルキックで脇腹を蹴られ、ふっ飛ばされた。
「この状態でも、お前のことはよく見えているぞ!甘く見るな!」
「ウッ、く、くそうう・・・う。ゲホッ!」
マーフィーは口から苦しげに血を吐いた。呼吸をする度に激痛が走る。
痛い!!肋骨が折れて肺に刺さったか?・・・。
マーフィーはなんとか起き上がると、ジャッカルを睨みつける。
「ほぉ! まだやるつもりか?。だいぶ苦しそうじゃないか。
だがな、おれもゆっくり遊んでいられない。バロンが戻る前に、アサルトマシーンと一緒にここから逃げ出さなきゃな。待っていろ、この女の後にすぐ殺してやる」
マーフィは脇腹を押さえながら、ジャッカルに近づいた。
「もうやめて!マーフィー!」
マリアは懇願するように、マーフィーに向かって叫んだ。
「いいだろう!きさまから先に殺してやる!」
ジャッカルはマリアを横に放り投げた。
「キャ!!」
マリアはガラクタの中に転がるが、なんとか無事のようだ。
「さあ! 来やがれ!」
ジャッカルはマーフィーに両手で手招きをする。
「ダッーーーーーーーー!!!」
マーフィーは再び、ジャッカルに正面から飛び込んだ!
「チーーッ!!」
ジャッカルはマーフィーの顔面めがけ、ハイキックを繰り出す!
ゴギョッ!!
骨が折れる鈍い音が聞こえた。マーフィーは、その蹴りを右腕でガードして止めた。
「とめたーーー!!バ、バカな!!まじでかっ??」、
「ウォォォォォォォォォォ!!!!!!」
マーフィーは凄まじい咆哮をあげた!
「な!なんだっ、こいつ!」
ジャッカルはマーフィーの目を見て恐怖を覚えた。
「こつは!こいつの目は、まともじゃない!」
ジャッカルはマーフィーから飛び退いて離れる。
その時!
ドッカンンンンン!!!
ものすごい破壊音に、ジャッカルが振り向くと、倉庫の壁を突き破って、放置してあったあのアサルトマシーンが突っ込んできた!
「ギャャャャーーーー!!!」
アサルトマシーンの先端がジャッカルの胴体にぶち当る!
ドゴン!!
アサルトマシーンは、太い鉄柱に衝突して止まった。
ジャッカルはアサルトマシーンと鉄柱の間で、ぺしゃんこになり、今度こそ完全に横死した。
マーフィーはそこに立ったまま、しばらく呆然としていたが、やがてよろよろしながら、マリアに近づいた。
「はあ、はあ、マ、マリアさん、大丈夫、ですか」
「わたしは、なんとか大丈夫よ、たいした怪我はないわ」
「よかった・・・」
「マーフィー!! しっかりして!!」
マーフィーはマリアの胸に倒れこむようにして、気を失った。




