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星屑の傭兵  作者: 磯野海月
第2章
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偽装艦スカッツ

そのころ、輸送船に偽装したアースユニオンの戦艦スカッツに、ケレス小惑星連合のパトロール艦が接近しつつあった。


「艦長。ケレスのパトロール艦に補足されました。臨検すると言ってきています」

「このT-623の全通信を外部と遮断してから、もう2時間ほどだ、ほぼ予定通りのことだ」


「攻撃しますか?」

「ああ、もちろんだ。アサルトマシーンを出せ。ミダス中尉はどうした」

「ミダス中尉アサルトマシーンでスタンバイしています」

「つなげ」


ブリッジのモニターにアースユニオンの精鋭アサルトマシーン、AU-11・オーガンのコクピット内が映る。


ミダス中尉の顔は網膜投影装置とヘルメットでほとんど見えない。


「やっと出番ですか」

「そうだ」


「たかがパトロール艦では、面白味に欠けますけれど」

「大した自信だな。だが、お前の腕は買っているぞ」


「パトロール艦が接艦してきたら、背後から飛び出して、一瞬でブリッジだけをつぶすんでしたね」

「そうだ。相手に通信させる隙をあたえるな」

「了解しました」


ミダス中尉はニッと口元から自信の笑みを漏らした。


「艦長、ケレス小惑星連合の辺境警備艦隊は、メルクリウスラインにほとんど主力が張付いていて、こんな場末のコロニーまでは手が廻らないはずですから、そんなに情報遮断に神経質にならなくとも・・・」

副官がそう言い終わらないうちに、ボルツ艦長は険しい表情をして答える。

「私が心配しているのは、ケレス辺境警備艦隊などではない」

「それ以外といいますと?、・・・」

「ゴールデン・スピアだ」


「まさか、ゴールデン・スピアがこのエリアに来ていると・・・」

「AI(人工知能)の推測によると、その可能性が15%ある。『24時間前、シュタリア戦線でゴールデン・スピアが確認されて以後、所在が不明』という情報が暗号通信ではいった」


「この作戦は、ゴールデン・スピア本艦と、その傭兵が出てこれらない。というのが大前提で立てられたはずですが、そうなるとかなり難しいことに・・」

「まだ分からん。だから慎重にならざるをえんのだ」


艦長は腕ぐみをして艦長席の背もたれに依りかかる。

そのうちパトロール艦が接艦するために、偽装艦スカッツにかなり接近してきた。


「ミダス機でます」

アサルトマシーン・オーガンはリニア・カタパルトが開くと偽装艦のイミテーションの艦腹を突き破って、一気にパトロール艦の背後に飛び出す!

それは一瞬であった。

オーガンは正確にパトロール艦のブリッジを、一撃でレールガンで撃ちぬいた。

張り詰めた沈黙の後、ミダス中尉からレーザー通信がはいる。

「完璧です。パトロール艦のエンジン停止。生命反応も消失。完全に沈黙しました」

「よくやった。艦に戻れ」

「この船はどうしますか?」

「構わん、ほうっておけ」

「了解」

ブリッジを破壊されたパトロール艦は、慣性でゆっくりと小惑星T-623の方向に流れていった。


マリアとマーフィーはオータムファクトリーのドックで、ドックのゲートにとある細工をし、古い輸送船にビートルボム(対人自動地雷)を仕掛けた。


「ここまでアサルトマシーンを餌に、ガルトザムのやつらをおびきだし、逃げきってシェルターに隠れられれば、後は、なんとかなると思うわ」

「マリアさん、本当に行くんですか・・・」

「ええ・・・。アサルトマシーンはお願いね」

マリアはマーフィーのと向かい合って、その顔をじっと見つめると、両手でギュット握りしめた。


「マーフィー、ありがとう。あなたに会えて本当によかっった」

マーフィーの手マリアの温もりが伝わる。

目を細めたマリアの横顔。

切ない・・・。

何と言ったらいいなだろう・・・。

ただ・・・、絶対にさよならだけは言いたくない!

これが恋なのだか、それとも別の感情からなのだかは、マーフィー自身にもよく分からない。

ただ、目の前で他人の犠牲になって死んでいく女性がいたら、マーフィーは絶対にそれに耐えられない。なぜなら彼の母親がそのような人であったからだろう。

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