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第52話


突然雨が降ってきた。


周りに雨宿りできる場所がない。

そして目の前におあつらえ向きのラブホテルが1つ。


ずぶ濡れの男女はやむなくそこに入って────。


「いやー、凄い雨でしたねー、せんぱい」


「あー、そうだな……てそうじゃねえ!!」


思わず流れで返事してしまったが、本当にそうじゃない。


だって、男女でラブホテルだぞ!雨で仕方なくだぞ!そんなドキドキハプニングイベントが現実にあって溜まるか!


こういうのは、ラノベとかギャルゲで充分なんだよ。


というか、よく入れたものだ。


本来、ここは18歳未満はお断りのはずだが、私服だったからあまり気にされなかったのだろうか。


しかし、もし見つかったら即終了ってやつだわ。もう社会復帰できないかも……。


「はぁ……どうすんだよこれ……」


「まあまあ、ちょっと休憩していくだけですからー」


なんでこいつはこんな平然としていられるんだ。


まさか、このホテルの意味を知らないとか抜かす気か。


いや、沙耶香先輩なら有り得るかもしれないが、あやのに限ってはまず無いだろう。


はっ!まさか……俺の事を男として見ていないということなのか!?


いや、それこそ有り得ない、だって彩乃は俺の事を……好き、なんだからな。


となると……まさか!いつでも準備オッケーってことなのか!?


俺が欲情して、野獣化するのを待っているのか!?


まさかな……俺の妄想も大概にしないと。


まあ、ただの雨宿りが目的だし、仕方なくだし、俺の考えすぎだな。


こんな時に歳上の俺が動揺していてどうするんだ。


考えるな。ここはただの休憩所であって、男女でナニをする場所ではない。


「あ、せんぱい」


「んあ?なんだ?」


「ここラブホテルですよ?男女であんなことやこんなことをする場所ですよ?」


「なっ!?お前……っ」


こいつ、俺を動揺させに来ているな。


また俺をからかって楽しもうとしてやがる。


だが、そういつもお前の好きなようにさせないぞ。


「そ、そんなこと、し、知ってるし……別に?ただ雨宿りしに来ただけだし?何もする気ないし?」


めちゃくちゃ動揺してしまった。


「そーですかぁ……残念です。私、せんぱいなら何されてもいいのにぃ」


少し落ち込んだ表情を浮かべながらそんなことを言う。


なんだよそれ……。そんなこと言われたら……。いや、流されるな、俺!気をしっかり持て!


「まあいいです。せんぱい、お先にお風呂使ってもいいですか?」


「さ、さっさと行ってこい……」


いかん。考えるな。こいつの言葉にそこまで深い意味はないんだ。そうだ……またからかってるだけ。それだけ……。


しかし、1度冷静になる時間が欲しい。


早く風呂にでも何でも行ってきてくれ。


「はーい。あ、そうだせんぱい。覗きに来てもいいですよ?」


「は!?な、何言ってんだアホ!さっさと行ってこい!」


だから、そういうのまじでやめてくれ。


「えへへ、冗談ですよ。じゃあお先に失礼しますね」


そう言って、彩乃は浴室へと向かっていった。


くそっ、彩乃の冗談は心臓に悪すぎる。


こんなお約束イベント、俺には地獄でしかない。


頼むから、このまま雨が止むまで何も起きないで欲しい。


そう心の中で呟きながら、気を紛らわせようとテレビをつけた。


が、俺はテレビに流れた映像を見てわずか1秒未満ですぐに電源を消した。


……そうだった。ここ、ラブホテルなんだった。


だめだ、どうしても意識してしまう。


仕方ないじゃないか。俺だって男なんだから。この状況でどうやったら無心になれるんだ。


教えてくれ、ラノベ主人公よ!!


無駄な思考に力尽き、俺はベッドに顔を埋めながら、時が過ぎるのを待つことにした。



一方その頃、お湯を溜めた湯船に使っていた彩乃は────。


「………ぅぅ」


やけに広い浴槽にも関わらず、膝を抱えながら限界まで縮こまり、顔を赤くしていた。


───うぅ、やっぱり恥ずかしい。


鼻から下をお湯につけ、ぶくぶくと泡を立てながらそんなことを考えていた。


───はしたない女って思われちゃったかな……ううん!こういう時こそ、誘惑していかないと!


突然立ち上がり、拳をぐっと握る。


───でも、私の体でせんぱいは、ちゃんとドキドキしてくれるのかな……。


首から下に視線を向け、自身の体を触りながら、眉をくもらせる。



───弱気になっていちゃだめだよ、私!最終的に直之せんぱいと付き合うのは私なんだから!ここで絶対に差をつける!


そんな決意を胸に、彩乃は再び湯船に体を浸ける。


───でも、やっぱり恥ずかしいなぁ……。


今まで経験したことの無い羞恥心を、彩乃は全て湯船に溶かした。



この度もご拝読ありがとうございます!!


活動報告でも申し上げました通り、あと数話更新した後、一旦この作品の更新を止めさせていただきます。


毎日楽しみにしてくださっている読者様には、本当に申し訳ありませんが、作品も執筆に行き詰まってきている節がありますので、ご了承ください。


代わりに、更新を止めている間は、息抜きで書いていたもう1つのラブコメを投稿させて頂きたいと思っています。


この作品の……特にこの作中に出てきているヒロインの1人、春川彩乃が好きだと感じている方からしたら、とても面白いと思ってくださるはずです。


よろしければ、更新ストップ中は、そちらの作品を読んでいただければ幸いです。


短めの話数で完結させたいと考えていますが、もしも、ブックマークや評価、感想などが増えたら、その後も続けていこうかなとも考えています。


この話を含めて、あと2、3話の更新の後、新たな作品を投稿するので、予めご了承ください。


この度は、作者の勝手な都合でご迷惑をおかけして申し訳ありません。


ですが、必ず更新を再開することをお約束します。なので、これからも変わらず今作品を応援してくださるととても嬉しいです。


それでは長文、大変失礼致しました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 私が毎日学校行くときに励まされてます! ありがとうございます! これからも頑張って! [一言] 春川彩乃大好きです! 応援してます!
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