カーサン国反乱編3章
リーガル「行くぞ、ルハク」
背中を押し、真っ直ぐな目で見つめられ、
頷き、剣を引いた。
イスラン「スカル、あの少年を
相手しなさい、あたしは、
騎士長をやります。」
スカル「わかりました。
すぐ終わると思うので
援軍に向かいます。」
イスラン「それは、頼もしいですね」
リーガル「あんまり、帝国騎士団を
舐めるなよ、イスラン大佐」
殺気満ちた視線を向け、
火花が散っていた。
スカル「子供相手とは、早く終わりそうで
助かります・・・。」
ルハク「ほんと、あの大佐と
喋り方も雰囲気も同じなんだな
自分を殺してる目をしてる・・・。」
スカル「何が言いたいですか?」
ルハク「自分を偽って、
息苦しくないのか?」
スカル「貴方に言われるような
筋合いなんか無いはず・・。」
ルハクは、スカルに切りかかろうと
見せかけ、背後にいた部下達に
魔法を仕掛けていた。
ルハク「サンローブ!!」
光の紐に縛られ、苦しめ続けられ、
息が出来なくて、窒息死した。
スカルの目は、光景に圧倒され
ただ立ち尽くす。
イスラン「ボッーとしないで
戦って下さい!貴方は、人形ですか?」
スカル「違います」振り返り、
きりかかってくる、ルハクを
剣で受け止め、腹あたりを
蹴り倒し、噴水に落とした。
スカル「僕は、お前みたいやつが
大嫌いなんだ!!
わかった振りして土足で
踏み込むやつが!!」
ルハクは、立ち上がり、
曇のない真っ直ぐな目で見つめる。
「やっと、素が出たな、
子供相手なのに、ムキになるんだな」
スカル「ムキになってなどいない!
お前に勝たなければ、
大佐に失望されるだけだ。
やっとの思いでここまで追いつけたのに
お前ごときの存在に邪魔されて
たまるか!?」
ルハク「それが戦う理由か?」
スカル「理由なんて必要ない。」
ルハク「さっきの仕返しな」
スカル「そんなの効くと思うか?
ミラー!!」
透明な壁が立ちはばかり、
これなら壊せないだろう・・と
すっかりドヤ顔で仁王立ちだ。
ルハクは、壁を殴り倒し、
粉々に割り、その勢いのまま
スカルの頬をめり込むぐらい
拳を入れた。
ブルート「おっ、面白ねぇな」
住宅地の屋根に座り、
高みの見物をしていた。
見飽きたのか、すぐに飛び立ち、
黒い翼を撒き散らす。
スカルは、血を吐き散らし、ルハクを睨みつけた。
ルハク「お前だって、軍人だろ!!
同じ軍人なのに、なんで人々を
この状況から救おうと思わないんだ?」
スカル「政府軍は、政府の犬だ。
君は、分かってもないのに、理想論を語るな」
ルハク「犬でいいのかよ!!人間だろ
汚れたヤツの言う通りにしてたら
自分まで汚れて、ほんとに
何が正義なのかが分からなくなる。」
スカル「正義なんて言うものは、曖昧で
人によって形は、違う!!
これが俺達なりの正義なんだよ。」
ルハク「意味が分かんねぇよ
他人の土地を強引に奪って、虐殺して
何が正義だよ・・・。」
馬鹿みたいだと思われるかもしれない
神様の声が聞こえたなんて・・・。
「迷うな、自分の正義を貫け」
ルハク「そんなの神様に言われる筋合い、ない。」
迷いを生じた時、こんな言葉が
心に響くのだろう・・・・・。
正義とは、なんだ??
いくら、探したって見つからない
でも、自分だけの正義があるのなら
それが間違いじゃないと確信したなら
自分だけの正義を貫け・・。
さっきまでの目つきとは、違い
もっと真っ直ぐで光に満ち溢れていた。
スカル「なんだ?この光は・・。」
ルハク「俺は、騎士だ。
人々を悲しませるお前を許さない。」
スカル「相変わらず、綺麗事が好きなみたいだね!
君には負けないよ」
剣を交わしあい、お互い譲らず、
ルハクが圧倒的な力を剣に込め、
振ると、建物まで飛ばされていた。
ゆっくりとその場所にいくと
思い切り、叩きつけられ、
壁に血が真っ直ぐ線を描いている。
俺は、初めてこの日、人を殺した。
自分の手が汚れて見えてしまう。
これが戦いか・・・。
分かりきってる事を今更、実感するなんて
こいつの言う通り、綺麗事が好きなのかもしれない。
でも、もう迷わない、俺の信念を貫くだけだ。
********************
若造が正義を語るなどいいご身分だ。
長い時を生きてきたわしでも
そんなものを分かっていないのに、
まぁ語るだけなら自由か・・・。
ロボットを何度も切り裂き、
悲鳴も何度も聞いた。
だが、すぐに生え変わり、何事も
なかったように突っ立っている。
頭を切ってみるか、ありがちだが
弱点なのかもしれない・・。
ロボットと目があった時、双方の腕から
銃弾が放たれ、避けるが、
これで攻撃する機会さえ与えないつもりか・・。
爆破魔法で両腕を吹っ飛ばしても
すぐに生え変わり、また同じ目に遭うのなら
頭を刈り取るしかないか・・。
ちょっと無茶だがやるしかないな・・。
ルイーダ「バリアー!」
壁に包み込まれ、放たれる玉は、
跳ね返されるがヒビが入り、
いつ、割れてもおかしくない状態だ。
ルイーダ「ソードインフォ二ティ!!」
壁が割られた瞬間に無数の剣を
放ち、ロボットは、切り刻まれ、
ぶつ切りにされていく。
地面に散らばり、起動すらしていない。
ルイーダ「一応、根絶やしにするか
ファイアスフィア!!」
パーツが燃やされ、灰となっていた。
ルハク「すごいすぎる」人先早く終わっていた
少年がこちらに見惚れていた。
ルイーダ「これ位で圧倒的されてるようじゃ
あの若造には、勝ててもワシには、勝てんぞ」
ルハク「ルイーダ首相に俺なんかが
勝てませんよ・・・。」
ルイーダ「そうかのぅ、認めたくないが
君は、何かを感じる、勘だがな」
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正義とは、なんだ??
誰にそんな事を聞かれても、
何も答えられないだろう・・・・。
でも他人の土地を強引に奪い、
応じないのもには、死が待っていて、
高い年貢を強いられ、国民は、
貧困と苦しみに喘いでいるのに、
ナゼを手を差し伸べないのだ・・?
リーガル「君たちは、本当に政府の犬なのか?
あんな奴らに従い、国民に
何も思わないのか?」
イスラン「ほんと、どいつもこいつも
綺麗事が好きなようですね、
何も思いませんよ、あたしは、
政府に忠誠を誓っているんです、
なのに国民にそこまでしなきゃいけないですか?
国家をつくるのは、政府です。
国民は、ただそれを見てるだけ
それってただの怠慢じゃないですか?」
リーガル「何もわかってなどいないな!!
そんな奴らが作った国などに
安寧などないも思え、
政府は、国民を守り、この国を
どうすれば良くなるか、
国に思い、国民を思い、国家に忠誠を誓い、
国民は、働き、子供をうみ、
政府がちゃんとしてれば安心して暮らし
国は繁栄するだろう。
今の状態じゃ、子供なんか産んでも
貧困で餓死するだけではなく
この国は、死体で腐りきってしまうだろう。
君達がしてるのは、そういう事だ。」
イスラン「理想論を語ってどうするです?
もうこの国は、終わりを迎えているんです。
そして新国家が生まれるのです。
弱き者に生きる価値などありません、
強き者達だけが価値あるのです。」
リーガル「ムチャクチャだな、
急になんで、村や街の土地を奪い、
高い年貢を収めさせるようになった?」
イスラン「そんなのロンス首相の
ご命令があったからじゃないですか?」
リーガル「なにか隠しているな・・。」
イスラン「そんな事ありませんよ、
あなたが俺に勝ったのなら、全てを話しますよ」
リーガル「それは、助かる。
君には、負ける気がしない。」
イスラン「随分、舐められたようですね
すぐにそんな自惚れ、砕いてあげますよ」
剣で、せめぎあい、お互いに譲る気などない。
リーガル「君は、弱いな」
耳元でそう呟くと、激高して、
力が強くなり、吹き飛ばされる。
企み通りだ・・・・・・。
イスラン「弱くなんかありませんよ
そうだとしたら、ここには、いないですし
あたしは、強いですよ」
リーガル「自惚れは、身を滅ぼすぞ
戦いなどなんでもありだ。
ブラックローブ!!」
イスランの足元に魔法陣が現れ
黒い紐が身体中を縛り付ける。
イスラン「何のつもりですか?」
リーガル「だれも真剣勝負とは、言ってないだろう
何度も言うが帝国騎士団を舐めるなよ
偉い目に遭わされるぞ・・。」
イスランは、闇の中に飲み込まれ、
心まで恐怖で押しつぶされ、
視界が真っ暗だ。
虚ろな目で過ごしてきた時が蘇る。
俺は、なんで政府軍になりたかったんだ?
国民を守り、国家を守って、
誰よりも平和を願ってたはずなのに
政府軍なれば政府の犬となり
理想は語れなく、上の命令に従い
従わなければ、拷問にかけられ
傷を負わされた仲間を何度も見てきた。
いつから無難に生きることを選び、
国民を守る事を捨て、摂取し続け、
己をどんだけ汚れようと見ないふりをしてきた
これが俺の罪か、こんな人間など
生きてる価値がない。
まだ後悔がある、このままじゃ
この国は、壊されるのなら
いっそのことあの男達に壊される方が
平和が訪れるかもしれない。
悔しいが未来を託すか・・・・。
そのままに闇に飲み込まれ、
溺れ死んでいった・・・・・。
リーガル「そういう事か」
紙が手のひらに落とされ、
そこには、文字が書かれていた。
この国家は、闇の精霊、ブルートに
支配されている・・
たったそれだけだった・・・。
紙を握りしめ、降りしきる雨を見つめていた。
********************
「救出組 倉庫前」
ベゼル「見張りが沢山いますね
これを倒して、突破しろという事か
中々無茶をおしゃいますね」
ベル「どうしますか?魔法で
なんとか出来ると思いますが・・・。」
死角に隠れ、様子を窺っていた。
ベゼル「そうですね、俺が
囮になるので、その隙に魔法を
仕掛けて下さい・・・。」
べニラ「嫌、副騎士長が囮だなんて
俺が囮になります。」
ベゼル「貴方は、ベルの援護をしなさい。
上司の言うことを聞くのも大事ですよ」
べニラ「分かりました。」
ベゼルは、敵に向かっていき、
次々と切っていき、圧倒され
敵が怯えていた。
ベルとべニラも敵の前に現れ、
魔法を唱えた。
ベル\べニラ「協力魔法!!
ソードインフォ二ティ&サンウィップ!」
無数の剣が放たれ、敵の腸を貫いていき、
光を纏った鞭で痛め付けられ、
あっという間に数は、ヘリ、
全員、倒れ込んだ・・・・。
ベゼルは、地面に落ちていた
倉庫の鍵を拾い、ドアを開ける。
***************
ベルの父目線。
捕まってしまっては、公開処刑され
死ぬだけだ。自分が情けなく見えてしまう。
やっぱり無茶だったのか・・。
国家に逆らうことは、国民を救いたかったのに
子供たちの未来を平和にする為に
全てこれで無駄になってしまった。
理想は、理想でしかないのか・・・。
心には、絶望しかなく、誰も助けにこない。
きっと光は、差すことは、ないだろう・・。
ドアを開いた瞬間、眩しくて
政府軍かと思ったでも、
目の前にいたのは、泣き腫らした娘だった。
ベル「お父さん、助けに来たよ」
手を差し伸べられ、あれほど
光は、差さないと絶望したのに
まだ俺に希望を与えるのか・・・・。
続く




