始動
アレス・ユフィ・ソフィから構成されたギルド【ライオン】にレインが加わったため、立った今ギルドから出てきたところだが、ギルドメンバーの変更を行うために、再度ギルドに入った。
受付のドジっ娘にアレスは声をかけた。
「すいません、ギルドメンバーの変更をお願いしたいんですけど・・・」
「あれ、アレスさん?早速のメンバー追加ですか??」
「うん、この後ろのでかいのをメンバーに追加して。」
「了解です。って、レインさんじゃないんですか?!アレスさんのところに入るんですね!!」
「そーなんス!無事、キングのお眼鏡にかなったんスよ!」
「キングは辞めろ・・・。ってか、二人は知り合いなの??」
「そりゃ、もちろん、知ってますよ。レインさんはもう何ヶ月も毎日のように、このギルドで仲間を探してましたから!!ずっと仲間が見つからなくて心配していたところです!」
「レイン・・・。」
アレスはそうつぶやくと、レインの肩に手をおく。
「お前、友達いなかったんだな・・・。」
アレスは憐憫の目をレインに向ける。
「いやいやいやいや!!友達たくさんいまスって!だ〜か〜ら〜相応しいギルド、相応しいボスを探すためにずっと待ってただけッスから!」
「・・・・・・。」
静寂が一同を包む。
その静寂が居たたまれなくなったのか、ソフィがぽつりとレインに声をかける。
「レインさん・・・友達に・・なろ??」
「ソフィの姉御・・・その優しさが痛いッス。信じて下さいッス・・。」
「ま、そんなことはいいや。変更よろしく!」
うなだれているレインを尻目に、アレスは必要な変更を行った。
ギルドにてギルドメンバーの変更を行った後、一同は近くの定食屋に入り、昼ご飯を済ませた。
「んじゃ、第1回ライオンMTGを始めます。はい、拍手〜〜。」
シーーーーン。
「おい、レイン。次、拍手しなかったらぶっころす。」
主にレイン。お前だ。
「・・ちょ!それはヒドいッス!わ、分かりました、つ、次からやりますッス。」
「第1回ライオンMTGの議題は、自己紹介だ。まずは、俺から。俺はアレス=アレキサンダー。出身は秘密。将来の夢は秘密。趣味は秘密だ!」
そう高らかにアレスは宣言した。
「・・・キング。それじゃあ名前以外何も分からないじゃないスか。ってかアレキサンダーってこの国の王様と同じ名字ッスね。」
「アンタ・・・ひょっとして王族なの!??」
「遠い、遠い、親戚なだけだ。まぁ・・些細なことは気にするな。」
「さすがキングはキングだけあるッス!一生ついていきまス!」
「なんで王族がこんなところで油売ってんのよ?!暇なの!?」
「・・・成し遂げたいことがあるんだ。それはまだ言えない。前も言ったけど、とりあえず目下の目標はこのギルドを大陸一にすることだ。」
「しびれるッス。でも俺たち大陸一なんてなれるんスか?」
「なれる。俺についてこれば、な。おれの話はこれぐらいにしておこう。次、ユフィとソフィ。」
アレスはユフィとソフィを指名した。
「私はユフィ。この子の双子の姉よ。歳は年齢は12歳。見て分かるかもしれないけど、人間と魔族とのハーフよ。・・・・ついさっき、アレスに奴隷として買われたわ。昔の話は・・・したくないわ。」
「やっぱり・・魔族とのハーフなんスね。」
魔族の多くは美しい緋色をしており、魔族と人間とのハーフもまた、その緋色の目を受け継ぐことが多い。
魔族と人間は相容れない存在であり、大多数の人間にとって魔族は、敵であるという認識が根付いている。それは魔族にとっても同じ認識である。
魔族と人間、どちらからも忌み嫌われる存在であったユフィとソフィの辛い過去は創造に難くない。
「レインは・・その・・・軽蔑、しないの?」
ユフィは戸惑いながらレインに尋ねる。
「俺は、キングを信じているッス。そのキングが信じている人も信じるッス。」
「・・・・変わった人ね。」
そういって、ふっとユフィは肩の力を抜いて笑った。
「次は、ソフィよ。」
ユフィはソフィへ自己紹介を促す。
「ソ、ソフィです。・・・よ、よ、ろしくお願いします。あぅ。」
多くの人の視線を集めた状態で話すことに慣れていないのであろう。
ソフィは頬を真っ赤にしながら、ぺこりと頭を下げた。
そしてあぅあぅ言っている。
その姿を見て、男性二人は
(この可愛い生き物を絶対守ろう。)
と心に誓ったのであった。
「自己紹介は全員終わったなーー」
「ちょぅぅう!俺、レインさんがまだ残っています!扱いひどいッス!!」
「冗談だよ。最後にレイン、どぞ。」
「うっす!レインです。年齢は16歳。魔法は全くダメですけど、体力には自信あるっス!」
そう言いながら、両の腕に力こぶをつくりニコッと爽やかスマイルを浮かべるレイン。
身長は185cmくらいあるであろうか、そして全身に程よく筋肉がついており、理想的な前衛の体つきをしていた。
「・・・ほんとに、魔法ダメなんですね。」
ポツリとソフィがつぶやく。
「どうだ?レインの周りの精霊達は?」
【精霊のイヤリング】をつけているおかげで、ソフィは周りの精霊達を見ることが出来る状態になっている。
「あの・・精霊さん達が・・・レインさんを避けて通っています。なんというか、ものすごく精霊さん達に嫌われているみたいです。」
「あの・・ソフィの姉御?精霊が見えるってどういうことですか?!!」
一般的に、精霊の力を借りて魔法を使うことは知られているが、精霊を見ることができるとは知られていない。
そのため、アレスはレインに【精霊のイヤリング】について説明を行った。
「マジすか・・・・。やっぱり魔法の才能なんてないんスか。」
肩を落とすレイン。
「才能・・・?一般人クラスだったら才能なんて関係ないぞ?お前、昔精霊に対して失礼なことしただろ?だから精霊に嫌われているんだよ。逆に、ユフィ・ソフィは魔族の血を引いているっていう生まれつきの才能ってのと、その今までの人生があまりにも辛かったから精霊達が味方になってくれているんだと思うぞ?」
「精霊に感情とかあるんスか?!」
「そりゃ、あるだろ。火・水・風・土・空の精霊、それぞれ性格とかあっておもしろいぞ?ま、今後色々教えていくさ。」
「俺の知らないことだらけでした・・。さすがキング・・・。」
「ま、自己紹介はこんなとこかな。とりあえず、今日は早めに宿に行ってゆっくり休むぞ。俺が泊まっている宿に全員泊まれ。あぁ金の心配ならするな。このギルドが稼げるようになるまで、当面俺がお金を出すから。」
「アンタ・・私たちを買ったときもそうだったけど・・どんだけ金あんのよ?」
「まぁ、前にいたギルドでたくさん稼いだからな。」
「俺、その話、ぜひ詳しく聞きたいッス!」
「宿についてからゆっくり話してやるよ。」
後に伝説となるギルド【ライオン】の第1回MTGは幕を閉じた。
こうしてアレスとギルド【ライオン】の物語がゆっくりと進みだす。




