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二つの世界を救う者達  作者: こんたろう
第一幕 東の勇者
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目的


リリスの入城が許された後、一日の休養を経て、アレス一行はいつも訓練を行う草原に来ていた。しばらく雑談した後に、【宵の守護者】のリーダーであるグレンがその草原にやってきた。話があると言われ、アレスに呼ばれたためである。


「リリス、グレンはこっちに来てくれ。ユフィ・ソフィ・レインはそのまま訓練を続けてくれ。」


「えーなんの話ッスか!?」


「大人の話、だ。お前達にはまだ早いな。」


そう言って、アレスとリリスとグレンはレイン達の少し離れた木陰に腰を下ろした。


「今日はリリスとのこと、魔族のこと、ミスリルのこと、俺のこと、を話そうと思う。」


「まず、リリスのことだが、会ったのは1年くらい前になるかな。俺が【ミスリル】のメンバーと大陸を旅しているときだったな。」


「そうじゃの。あのときは驚いたのじゃ。いきなり魔族の首都に人間が来たのじゃからのう。」


「えぇっ!?魔族の国に入ったのか!??」


一般的には人間と魔族が仲良く対話するなど、到底考えられないのだ。ましてや、観光気分で魔族の国に人間が入ってくるなど、前代未聞と言っても過言ではない。


「まあな。魔族のボスに用事があったからな。」


「そこで魔王の側近だったリリスに会って、そこから親しくなったんだ。」


「そうじゃな。妾は昔から人間の世界に興味があったからのう。すぐにでも、その【ミスリル】のメンバーと旅をしたかったのじゃがのう。もうすぐ【ミスリル】は解散するから、あと1年ぐらいしたらもう一回俺のとこ来てくれ、とアレスに言われたのじゃ。」


「そーゆーことだな。それで一年経って、俺に会いに来てくれた、と。」


「そうじゃ。妾はこの一年、大層楽しみにしておったぞ!」


「これがリリスとの出会いだ。どうだ?悪い奴じゃなさそうだろう?」


そう言ってアレスは【宵の守護者】のリーダーのグレンに目を向ける。


「あぁ。リリスという女性が僕ら人間とほとんど変わらない感覚を持っているっていうことは分かった。ただ、アレス君が普通の人間とは違った感覚を持っているっていうことが分かって、そっちが驚きだよ。」


「・・・まあな。それは認めるよ。次は魔族のことについて、話そうと思う。ここで、クイズだ。グレン、魔族と戦ってみて正直どうだった?」


「適わないな。このリリスの実力が魔族の中でどれだけの位置にあるかは知らないが、おそらく魔族が本気になって人間を滅ぼそうとしたら・・・。」


「そうだな。間違いなく、人間は滅びるな。じゃあ、なぜ魔族は人間を滅ぼさないんだと思う?」


「魔族が人間を滅ぼす気がないってことッスか?」


「その通りだ。正確には今の魔族の王は、人間を滅ぼすことを良しとはしない。だから魔族の国と人間の国の境界面でのみの小さな戦いで済んでいるんだ。それが数百年続いている。・・・だが、それももう長続きしない。」


そこでアレスはひと呼吸置き、リリスに視線を投げると、リリスは軽くうなずきながらアレスに先を促した。


「今の魔族の王には一人の弟がいる。今からおよそ3年後、この弟が今の魔族の王を討つ。そしてコイツが新しい魔族の王となる。そしてコイツは人間と共存しようなんて考えは一切ない。さて、どうなるか?」


「人間は滅ぼされる・・ってことか。しかし、アレス君。君はなぜそんな詳しい事情を知っているんだ?」


「魔族の王やリリスと話を聞いて、そう判断した・・・、かな。」


リリスは目を閉じて何も喋ろうとしない。


「にわかには信じがたいが、アレス君が言うのならおそらく本当なのだろう。」


「これは信じてもらうしかないな。そして、ちょっと話は飛ぶが、次は【ミスリル】のことだ。【ミスリル】の目的は"人間"が滅亡することを防ぐことだ。」


「・・・・。」


グレンは絶句しており、フリーズしているようだ。


それに構わずアレスは話を続ける。


「今この大陸には三つの大国があるのは知ってるな?大陸の東にある【エデン公国】と西にある【ガナリア帝国】、そして大陸の北にある【魔族の国】だ。これが三つ巴の緊張状態になっている。そこで俺たち【ミスリル】はそれぞれの国に分担することにした。

俺たちはいずれ来るであろう魔族との決戦に向けて、【エデン公国】と【ガナリア帝国】の軍事力の一切を指揮して魔族を防ぐ。または、【魔族の国】を内部から食い止める。」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。整理させてくれ・・。」


そう言いながら頭を抱えるグレン。


「えーと、アレス君はこの国の軍事における頂点に立つ、と。そして魔族との戦いの指揮をとりたい、ってことなんだな?」


「あぁ、その通りだ。そのための算段もある程度は立っている。」


「一つだけ質問いいか?なぜ私にその話をした?我々に何を望む?」


「それはな、騎士や軍へのパイプとなって欲しいからってのが理由だ。」


【宵の守護者】は元々エデン公国の騎士だった者で構成されているのだ。


「それと、魔族との戦いが起きたときに、ギルドに属している冒険者達を率いて戦って欲しいんだ。」


「そういうことか。我々のことを高く評価しすぎじゃないか?」


「でも、やってくれるんだろ?」


「・・・まあな。」


アレスは手を差し伸べると、グレンはニヤリと笑みを浮かべながらアレスの手をガッと掴んで握手に応じた。


今後、アレスと定期的に連絡をとることを約束したグレンは草原を去っていった。




「なんの話をしてたッスか!?」


好奇心旺盛にレインはアレスに尋ねて来た。


「いずれ話をする機会をつくってやるよ。」


話をはぐらかそうとするアレスの姿を見て、ユフィとソフィは目を見合わせていた。


「それより、リリス、自己紹介!」


「妾はリリスである。これからライオンに世話になる。皆の者、よろしく頼む!」


わーと言って拍手するライオンの面々。


こうして、ライオンのメンバーは5人になった。


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