表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二つの世界を救う者達  作者: こんたろう
第一幕 東の勇者
12/37

褒美

「ねぇアレス!昨日のレインとの勝負に勝ったご褒美忘れてないでしょうね!?」


アレス、ユフィ、ソフィ、レインでのメンバーで朝食をとっているときに、ユフィは堪えきれずにアレスに問いつめた。


「あぁ分かってるさ。とっておきのご褒美を用意しているさ。」


「姉さんったら、昨日の晩からずっとそのご褒美を楽しみにしていたんですよー。もちろん、私も楽しみにしているんですけど!」


「ソ、ソフィ、余計なこと言わないのっ!」


ユフィもソフィもまだ12歳である。


本来、親離れはしていない年頃であり、ご褒美をもらえると言われると、それが楽しみでしょうがないのだ。


「よし、んじゃそのご褒美を受け取りにいくか。」


そう言って、アレスが先導して街の中を歩いていく。


たどりついたのは一軒の大きなお店である。


そのお店の中に入ると、様々な武器・防具・装飾品などが飾られてある。


「わぁーーすごーーーい!!」


ユフィとソフィは初めて入る武具屋に興味津々である。


二人ともあっちへ行ったりこっちへ行ったりして、キャーキャーと歓声を上げている。


今まで戦闘の訓練しかしてこなかったため、こういった武具屋などは立ち入ったことがないのだ。


「いらっしゃいませ。お、アレスさんですか。昨日の件ですね?」


そういって、店の奥から出てきた主人がアレス達を迎える。


「えぇ、そうです。準備はできましたか?」


「もちろんです。きっとお似合いになると思いますよ。」


主人は奥に戻って、大きな箱を二つ持ってきた。


その箱をアレスに渡すと、アレスは一つをユフィの前に、もう一つをソフィの前に置いた。


「こ、これ、あ、開けていいの?」


ゴクリと喉をならしながら、ユフィはアレスに尋ねる。


「もちろんだ。開けてごらん?」


そう言うと、ユフィもソフィも恐る恐るといった手つきで、その箱を開ける。


「うわぁ・・・・!かっこいー!!」

「きれい・・・!」


ユフィの箱に入っていたのは一着の漆黒のローブと、柄が淡く赤色に染められている一本の短剣。


漆黒のローブは、最高級の絹をベースにそれぞれの属性の魔法耐性を付与したローブである。


赤色の短剣は、達人の工匠が作り上げた短剣に炎の属性を付与した短剣である。


一方、ソフィの箱に入っていたのは一着の白銀のローブと、柄が淡く青色に染められている一本の短剣。


白銀のローブも同様にそれぞれの属性の魔法耐性を付与したローブであり、青色の短剣は水の属性を付与した短剣である。


「これ、これ!着てもいい!いい!??」


「もちろんだ、ユフィとソフィのために作ったんだからな。」


アレスが言い終わるのを待たずにユフィは今着ている上着を放り投げ、ローブを被る。


その上から革のベルトを腰に巻き、そのベルトに短剣を取り付ける。


「じゃーん!!!」


と言いながら、腰に手をつけながらポーズをとるユフィ。


ブロンドの髪と緋色の瞳を持ち、漆黒のローブを身に纏う姿は、正直な所、様になっている。


「に、似合ってるかな・・?」


両手を前で組みながら上目遣いでアレスやレインを見つめるソフィ。


シルバーの髪に、白銀のローブを身にまとう姿は・・・ただの天使だった。


「姉御・・・やばいっス。ちょー似合ってます!!」


「あぁ、二人とも、とっても似合ってるぞ。」


えへへ・・・としながら照れるユフィとソフィ。


「ソフィ、あんたもなかなか似合ってるわよ!」


「お姉ちゃんもとってもかっこいいよ!」


(うん、特注してもらって良かった。)


その微笑ましい様子を見るアレスとレインと主人。


武具店を立ち去った後も二人の笑顔は絶えなかった。





「そうだ、これ、受け取れ。お前達のお小遣いだ。というか、昨日の討伐の報奨金だけどな。」


そう言ってアレスはお金が入った革袋をユフィとソフィに渡そうとする。


「え、そんなの受け取れないですよ・・・。今まで全部お金払ってもらってきたし・・。」


ソフィは遠慮がちに断った。今まで、アレスはユフィ・ソフィ・レインの食事代、宿代、衣料費などを全て払ってきていた。それを負い目に感じていたのだろう。


「今までのことは気にするな。俺も金は少しはあるからな。」


なにせアレスは前に所属していた伝説のギルド【ミスリル】でたんまりと稼いでいたのだ。


それこそ、大豪邸を何件も立てられる程の金額だ。


「これからは、ギルドの報酬はしっかりと4等分していくぞ。今回は、初めての討伐だからな。特別だ。これで好きな洋服とか食べ物とか買ってきな?お金を使うことも大事な社会勉強だ。」


そういって強引にユフィとソフィに革袋を渡す。


その中には大量の銀貨が入っていた。


「アレスがそう言うなら遠慮なく頂くわ。それじゃいこっか、ソフィ!」


「はい、アレスさん、ありがとうございます!」


まぶしい笑顔を振りまきながら二人は商店街の方へ駆けていった。


「・・・キング。あれって、お金ちょっと多くないっスか?」


「気にするな。餞別だ。」


どうしても年下の女の子には甘くなってしまうアレスなのであった。




「そんで・・俺にも、ご褒美ないんスか!?」


「実は用意してある。さっきの武具店に戻るぞ。」


「そうこなくちゃ!!」


そう言って、先ほどの武具店に戻る二人。


武具店に戻ると主人がまたも迎えてくれた。


「今度は・・・アレですね?!」


含みを持たせながら主人はアレスに確認する。


「えぇ、お願いします。」


主人が店の奥に行き、今度はフーフー言いながら大剣を担いできた。


「はい、これ、レインに。」


「・・・・。」


絶句するレイン。


無理もない。その大剣は170cm程度ありとにかく分厚い。そして・・・重い。


「期待してるぞ、レイン!」


そう言って笑顔でレインの肩をバンバン叩くアレス。


「・・・つ、使いこなせるように頑張ります!」


頬をヒクヒクしながら笑みを浮かべるレイン。


腰にぶら下げると剣が地面についてしまうため、背負うように革のベルトで剣を固定する。


大きな体格に、それに似合った大剣。


(これはこれで様になっているじゃないか。)


「どうする?レインも買物にでも行くか?」


「いえ、早速なんですけど、この剣を使ってみたいです。」


「お前も訓練好きだなー。付き合ってやるよ。」


そう言って、二人は夕暮れ時まで稽古をした。





アレスとレインは稽古を終え、宿に戻ってくると、ちょうどユフィとソフィも買物から戻ってきた。


両手いっぱいに荷物を抱えて。


「見てみてアレス!この洋服かわいいでしょ!けっこ安かったのよー!あの通りにある食べ物屋さんも美味しかったよ!」


この1ヶ月、訓練漬けだったユフィとソフィは存分に羽を伸ばして、満面の笑みを浮かべてアレスに話しかけていた。


「おぉ。良かったな!んじゃ最後のとっておきのご褒美だ。みんなついてきてくれ。」


宿を出たところに集まるユフィとソフィとレイン。


とっておきのご褒美って何だろう!??と目をキラキラしているユフィとソフィ。


アレスがふっと力を抜いて目を閉じる。


「あっ・・!?」


驚いて同時に声を上げるユフィとソフィ。


普段滅多に見ることができない【空】の精霊達が集まってきているのだ。


一般的に精霊は【火】【水】【土】【風】【空】の5種類いると言われており、時空や空間に干渉する【空】の属性の魔法を使うことは非常に難しいと言われている。


ユフィとソフィもまだ【空】の属性を扱うことはできない。


たくさんの【空】の精霊達がアレス、ユフィ、ソフィ、レイン達を包み込む。


その時、地面から足が離れ、それぞれの体が宙に浮いた。


「上から眺めてみるのも悪くないぜ。」


そう言って、アレスは魔法を制御してみんなの体をさらに上空へと導く。


5m・・10m・・・


それを見た街の人々が騒ぎ立てる。


しかし、その声もだんだん遠くなっていく。


20m・・30m・・・


街の人たちがどんどん小さくなっていく。


50m・・100m・・・


街の人たちは豆粒みたいになっている。


200m・・300m・・・


眼下に見える街はごちゃごちゃしていて、何が何だか良く分からないが、そこに人間が暮らしているってことはよく分かる。


東側を見ると、遠くに暗くて青い海が広がっており、水平線が見える。


北側を見ると、深い森が広がっている。一面の緑だ。


南側を見ると、険しく高い山々が広がっており、天に向かってどこまでも山が伸びている。


西側を見ると、草原が見渡す限り広がっており、地平線が見える。ちょうど日没の時間であり、太陽が地平線に沈もうとしている。


煌煌と燃える太陽の輪郭が地平線に沈むにつれて、はっきりとしてくる。


その光景を息を飲んで見つめるユフィとソフィ。


「・・・・悪くないわね。」


「そうだね・・・。」


ユフィとソフィの瞳にキラリと光るものが見えた気がするが、それは太陽の光なのであろうか。


太陽が完全に地平線に沈むまで、その光景を目に焼き付けるように見つめるユフィとソフィの姿がそこにはあった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ