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果てなき世界  作者: 影川明空人
第3章 学園1年目
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第83話

第83話 


 試験当日の朝。


 アーカディア学園の正門前には、すでに多くの受験者が集まっていた。剣を腰に下げた者、鎧を身につけた者、杖を持つ者。武系試験の日ということもあり、集まっているのはほとんどが戦闘系の志望者だ。


 ルシアンもその列の中にいた。


 周囲を見渡すと、年齢は同じくらいでも雰囲気は様々だ。緊張している者、静かに目を閉じて集中している者、仲間と話している者。だがどの顔にも共通しているのは、どこか張り詰めた空気だった。


 やがて、門の前に立っていた教師のひとりが前へ出る。


「静かに」


 低く通る声だった。


 ざわめきが徐々に収まっていく。


「これよりアーカディア学園、武系入学試験を開始する」


 教師はゆっくりと受験者たちを見渡した。


「試験は五つの段階で行う。魔力測定、筆記試験、昼休憩を挟み、魔法試験、そして実技試験だ」


 少し間を置いて続ける。


「受験者が多いため、武系試験は六つの会場に分けて同時に行う」


 教師の背後の掲示板に、受験番号の一覧が貼り出される。


「受験番号を確認し、それぞれ指定された会場へ移動しろ」


 受験者たちが一斉に掲示板へ集まる。


 ルシアンも近づき、自分の番号を探した。


 すぐに見つかる。


(……第四会場か)


 場所を確認し、人の流れに従って移動する。


 学園の敷地は広い。石造りの校舎や訓練場を通り抜け、指定された試験場へ向かう。


 やがて第四会場と書かれた広い訓練場に到着した。


 すでに何人かの受験者が集まっている。


 中央には、大きな水晶が設置されていた。


 教師が前に立つ。


「これより魔力測定を行う」


 教師の声が静かに響く。


「この水晶に魔力を流せ。魔力量に応じて色が現れる」


 受験者たちが順番に呼ばれていく。


 最初の受験者が水晶に触れる。


 光が灯る。


 オレンジ。


 次の受験者。


 赤。


 さらに次。


 赤。


(……赤が多い)


 ルシアンは静かに観察していた。


 赤は騎士団や宮廷魔術師と同等の水準。つまり、この試験に来ている者たちはすでにそれなりに優秀だということだ。


 測定は淡々と続く。


 時折オレンジが出るが、多くは赤だった。


 やがて順番が近づく。


「次」


 呼ばれる。


 ルシアンは前に出た。


 水晶の前に立ち、静かに手を伸ばす。


 触れる。


 魔力を流す。


 水晶がゆっくりと光を帯びていく。


 色は――


 紫。


 深い光が水晶の内部に広がる。


 周囲が小さくざわついた。


「紫か……」


「結構いるな」


 教師は特に反応を見せず、淡々と記録を取る。


 ルシアンは水晶から手を離した。


(……この程度でいい)


 本来なら黒。


 だがノクシェルで分かれ、さらに魔力を抑えている。


 このくらいがちょうどいい。


 測定はそのまま続いていく。


 やがて最後の受験者が終わると、教師が再び前へ出た。


「魔力測定は以上だ」


 短く言う。


「次は筆記試験を行う」


 受験者たちに移動の指示が出る。


 ルシアンも列に従って歩き出した。


 試験は、まだ始まったばかりだった。


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