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果てなき世界  作者: 影川明空人
第9章 学園2年目 大規模試験編
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第411話

第411話


 作戦開始。


 第一隊、第二隊、第四隊、第七隊。


 四つの隊が、魔族の集団が確認された地点へと向かっていた。


 第七隊によって敵の位置は常に把握されている。


 だが。


「……増えているな」


 遠方の敵を確認し、ライナーが呟く。


 第七隊が最初に発見した時よりも明らかに数が多い。


 魔族だけではない。


 周囲には数多くの魔物が集まっている。


「こちらへ向かう途中で合流したのか」


「そのようですね」


 アレスが答える。


 まだ増える可能性もある。


 これだけの戦力がまとまって人間側へ向かえば、どこかの砦が襲われるだけでも大きな被害が出る。


「やはり早めに叩いた方がいいな」


 ライナーが周囲を見る。


「予定通り奇襲を仕掛ける」


 各隊へ指示が伝わっていく。


 第二隊が側面へ。


 第四隊は第一隊と第二隊、双方を援護できる位置へ移動。


 第七隊は周囲の警戒を続けながら、敵の動きを各隊へ伝える。


 そして、第一隊が正面から仕掛ける。


「行くぞ!」


 ライナーの声と同時。


 騎士たちが一斉に動いた。


 まだ距離がある。


 その段階から、魔法が放たれる。


 炎、水、風、地、光。


 いくつもの魔法が魔族と魔物の集団へと降り注ぐ。


 轟音。


 土煙が上がる。


 奇襲。


 そのはずだった。


「来るぞ!」


 直後、土煙の向こうから無数の魔法が飛んできた。


「防げ!」


 前衛の騎士たちが動く。


 結界が展開され、さらに魔法が迎撃する。


 空中でいくつもの魔法がぶつかった。


 爆発が連続する。


「……気づかれていたか」


 フェルディナントが剣を抜く。


「完全な奇襲とはいかなかったみたいだな」


「第七隊に見つかった以上、向こうも警戒していたのでしょうね」


 カトレアも剣を構えた。


 土煙を突き破り、魔物たちが飛び出してくる。


「来た!」


 レオンが剣を構える。


『レオン! イッパイ!』


「ああ!」


 魔族、魔物。


 次々とこちらへ向かってくる。


 そして。


「……多いな」


 グランヴェルが目を細める。


 ただ数が多いだけではない。


 明らかに強い。


 先日の砦での戦い以上に、SSクラスの気配が多かった。


 巨大な魔物が咆哮する。


 その一体へ向かって、ライナーが飛び出した。


「俺がやる!」


 振り下ろされた巨大な腕を避ける。


 地面が砕ける。


 そのままライナーの剣が魔物へと振るわれた。


 別の場所でも。


「こいつは俺が引き受ける!」


 第二隊の隊長シグルドが、SS上位の魔族と激突する。


 さらに別方向では、第四隊のヴァレインが強力な魔物を引き受けていた。


 SS上位。


 魔族にも、魔物にも。それが複数存在している。


 それらには、隊長をはじめとしたルミナス騎士団の上位陣が対応する。


「学生はSS上位には近づくな!」


 指示が飛ぶ。


「目の前の敵に集中しろ!」


「はい!」


 レオンが答える。


 前方から魔族が迫る。


 剣を振るう。


「はぁっ!」


 受け止められる。


 だが、その瞬間。


「そこ!」


 カトレアの魔法が魔族の足元を凍らせる。


 動きが止まった。


「レオン!」


「はい!」


 踏み込む。


 一閃。


 魔族が吹き飛んだ。


「次!」


 横から魔物が飛び込んでくる。


 レオンが反応するより先に。


「邪魔だ」


 黄金の炎が駆け抜けた。


 魔物が炎に飲み込まれる。


「グランヴェル!」


「余所を見るな、レオン!」


「分かってる!」


 別方向から新たな魔物。


 レオンが迎え撃つ。


 さらに後方から魔法が飛来した。


「させない!」


 レティシアの魔法がそれを迎撃する。


 爆発。


 その向こうへフェルディナントが飛び込んだ。


「前は任せたよ」


 魔族の剣を受け流す。


 横薙ぎ。


 魔族が後退したところへ、アレスが迫る。


 一撃。


 その身体が大きく吹き飛んだ。


 だが、休む暇はない。


「右から来るわよ!」


 カトレアの声。


 新たな敵。


 その前へユリウスが出る。


「見えてます」


 魔物の爪を剣で逸らし、身体を回転。


 そのまま首を斬り裂いた。


 倒れるより早く次を見る。


 魔族が一人。


 魔法を放とうとしている。


 ユリウスが手を向けた。


 雷が走る。


「ぐっ!」


 魔族の魔法が中断される。


「今です」


「おう!」


 レオンが飛び込む。


 剣が魔族を捉えた。


「まだ来るぞ!」


 アレスの声。


 全員が再び構える。


 前、左右。魔族と魔物が入り乱れている。


 誰か一人だけを見て戦える状況ではなかった。


「ユリウス!」


 カトレアが呼ぶ。


「そっちに行きすぎない!」


「分かってます!」


 ユリウスが足を止める。


 普段なら、そのまま敵を追っていたかもしれない。


 だが、今回は戻った。


 すぐにレオンたちと合流する。


「ちゃんと戻ってきたな」


 レオンが笑う。


「僕だって状況くらい見てますよ」


「ならいいけど」


「何ですか、その反応」


「いや、別に」


 レオンは少し安心する。


 少なくとも今のところは問題ない。


 ユリウスも周囲と合わせて動いている。


「話してる暇ないわよ!」


「はい!」


 カトレアの声に、二人が前を見る。


 魔物が迫っていた。


 レオンが正面。ユリウスが右。フェルディナントとカトレアがその動きを支える。


 アレスたち第一隊の騎士も周囲の敵を押し返していく。


 少し離れた場所では、グランヴェルとレティシアも他の騎士たちと戦っている。


 さらにその向こう。


 第二隊、第四隊、第七隊。


 いたるところで戦闘が起きていた。


 魔法が飛び交う。


 剣戟が響く。


 巨大な魔物が暴れ、SSクラスの魔族と騎士たちが激突する。


 先日の砦とは違う。


 守るべき場所があるわけではない。


 広い戦場。


 互いの戦力が入り乱れる乱戦。


 そして敵の数は、想定していた以上。


「まだ奥にもいるぞ!」


「左から増援!」


「第二隊が対応する!」


「第四隊は中央を援護!」


 次々と指示が飛ぶ。


 戦況は激しく変化していく。


 それでも、ルミナス騎士団は崩れない。


 各隊が互いの動きを補いながら、少しずつ敵を削っていく。


 レオンたちも同じだった。


「行くぞ、ユリウス!」


「はい」


 二人が同時に踏み込む。


 今はまだ、ユリウスも仲間と共に戦っていた。


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