第361話
第361話
「聖国リュミエルへ行きましょう」
ルシアンの提案に、その場が静まり返える。
「どうしてリュミエルなんだ?」
レオンが首を傾げる。
ルシアンは穏やかな表情のまま問い返した。
「みなさんは気付いていないと思うので、一つ聞きます。最近、身体の調子はどうですか?」
ガイウスは腕を組みながら考える。
「そう言われると……何となく前より身体が軽い気がするな」
テオドールも頷く。
「俺も調子はいい。魔力の流れも以前より滑らかだ」
ノエルは少し考えてから答える。
「私は……前よりシルフィとルナとの繋がりが強くなった気がする。呼び掛けなくても気持ちが伝わるっていうか」
レオンは不思議そうな顔をする。
「みんな調子は良さそうだけど、それがどうしたんだ?」
ルシアンは静かに答えた。
「先の戦いで、おそらく皆さんは神の加護を得ました」
一瞬、誰も言葉を発せなかった。
「……は?」
最初に声を上げたのはガイウスだった。
「加護?」
ルシアンは頷く。
「微かではありますが、皆さんから神性を感じます」
そして隣にいるフィアナへ視線を向ける。
「ですよね、フィアナ」
フィアナも静かに頷いた。
「ええ。皆さんから、微かに神の気配を感じます」
その言葉に、全員が目を見開く。
「俺たちが……神の加護を?」
レオンは自分の手を見つめる。
ルシアンは続けた。
「レオンは星の神・アストレイア様の加護の他にも、新たな加護を授かっているようですね。おそらく、それがオーバードライブの反動を軽減したのでしょう」
レオンは驚きを隠せなかった。
「そう……だったのか。だから以前より身体が動いたのか」
「ええ」
ルシアンは頷く。
「ですので、その確認も兼ねて聖国リュミエルへ向かいます」
テオドールが尋ねる。
「確認というと?」
「リュミエルに行けば教会で加護を確認することができます。そこで正式に加護を確認し、その後の修行についても相談する予定です」
レオンはフィアナを見る。
「でも急に行って大丈夫なのか?」
フィアナは微笑んだ。
「その件なら大丈夫です。既にリュミエルへ連絡を入れています。修行に行く許可もいただきました」
「流石だな」
ガイウスが感心したように笑う。
レオンも力強く頷いた。
「よし!じゃあ、リュミエルへ行こう!」
ノエルも笑みを浮かべる。
「今度こそ強くなって帰ってくる」
テオドールも静かに言う。
「異論はない」
ルシアンは全員を見回し、小さく頷いた。
「旅の準備もありますし、出立は明後日にしましょう」
誰も異論はなかった。
ゼルキスとの圧倒的な力の差、あの敗北を忘れないために。
そして、次こそ乗り越えるために。
勇者パーティは新たな修行の地――聖国リュミエルへ向かうことを決めた。




