第345話
第345話
街を揺るがす轟音。
拳と剣が激突するたび、大地が砕け、周囲の建物が崩れていく。
アレスとドラクス。
二人の激突は、まさに怪物同士の戦いだった。
アレスの剣が閃く。
鋭い斬撃がドラクスの肩を切り裂き、鮮血が舞う。
だが。
「いい一撃だ!」
ドラクスは笑っていた。
傷口はゆっくりと塞がり始める。
驚異的な再生能力。加えて、その肉体強度は常軌を逸していた。渾身の斬撃ですら深くは届かない。
一方でドラクスの拳は一撃一撃が必殺。まともに受ければ終わる。
アレスは剣で受け流し、紙一重でかわし続ける。
だが、押し切れない。
(前よりは届いている。傷も付けられるし、まだ余力も残っている)
(それでも……倒せる気がしない)
実力差は確かに縮まっている。
しかし、その壁はまだ高かった。
ドラクスが豪快に笑う。
「どうしたぁ!まだまだだろぉ!」
炎を纏った拳が振り下ろされる。
アレスは受け止めながら歯を食いしばった。
「くっ……!」
その時だった。
「アレス先輩!」
横から凄まじい斬撃が飛び込む。
ドラクスは咄嗟に腕で受け止め、数歩後退した。
「面白いやつとやってるじゃねぇかぁ!」
笑いながら現れたのはカイン。
その隣にはアルト。
アルトも剣を構え、静かにドラクスを見据える。
「四天王ドラクスか」
アレスは二人を見て目を見開いた。
「お前たち……」
アルトは短く答える。
「手を貸そう」
アレスは小さく笑う。
「攻めあぐねていたところだ。正直、助かる」
ドラクスは三人を見渡し、嬉しそうに笑った。
「また強い奴らが来たな!」
その時、少し離れた場所から少女の声が響く。
「カイン!また無茶して!」
杖を持った少女が駆け寄ってくる。
ベル。
カインとアルトの幼馴染。
二人の無茶にいつも振り回される支援役だった。
カインは振り返って大声で叫ぶ。
「ベル!いつも通り回復頼む!」
ベルは呆れたようにため息をつく。
「四天王相手だなんて、また無茶をして!私に感謝してよね!」
杖を掲げる。
淡い光が三人を包み込んだ。
傷が癒え、身体能力が引き上げられていく。
カインは豪快に笑う。
「いつもありがとな!」
アルトも小さく頷く。
「お前には助けられてばかりだ」
アレスも静かに礼を言った。
「ありがたい」
ベルは少し照れたように顔を背ける。
「べ、別に、助けるのが私の役目なんだから」
ドラクスはその様子を見て、大声で笑った。
「ハハハハハ!面白くなってきたぜぇ!」
炎が激しく燃え上がる。
アレスが剣を構え、アルトも隣へ並ぶ。カインは拳を鳴らし、獰猛に笑う。
そして後方ではベルが再び支援魔法の詠唱を始める。
四天王、好戦のドラクス。
それに挑むのは。
アレス、カイン、アルト、そして、ベル。
アーカディア最強クラスによる共闘が幕を開けた。




