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果てなき世界  作者: 影川明空人
第7章 学園2年目 武闘大会編
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第339話

第339話


 ――そして。


 私は邪神教に身を置くことを決めた。


 この腐った世界を終わらせるために、邪神を復活させるために。


 それが、私の選んだ道だった。


 ◇ ◇ ◇


 ロザリウスの語りが終わる。


 それでも戦いは止まらない。


 強化された邪神教徒たちは狂気に満ちた声を上げながら襲い掛かり、レオンたちは迎え撃つ。


 レオンが剣を振るい、ガイウスが前線を支える。


 テオドールの魔法が教徒たちを吹き飛ばし、ノエルが高速で敵を切り裂く。


 フィアナは負傷者を癒やしながら、ロザリウスを真っ直ぐ見つめていた。


「どうです」


 ロザリウスが静かに問い掛ける。


「私の話を聞いても、まだ神を信じると言うのですか」


 フィアナは少しだけ目を伏せた。


「……あなたが経験されたことは、とても悲しいことです。その苦しみを、私が理解したなどとは言えません。ですが…」


 顔を上げる。


 その瞳には迷いはなかった。


「私は、その出来事を理由に世界を壊そうとは思いません」


 ロザリウスは静かに笑う。


 しかし、その笑みは冷たかった。


「優しいですね。昔の私も、そうでした」


 錫杖をゆっくりと構える。


「人は救う価値がある。世界には希望がある。神は見守ってくださっている。そう信じていました」


 声が少しずつ低くなる。


「ですが違った。神は沈黙し、人は嘲笑った。世界は何も変わらなかった」


 フィアナは静かに首を横へ振る。


「それでも、私はルミナリア様を信じています」


 その一言だった。


 ロザリウスの表情が初めて大きく歪む。


「……まだ、まだ信じると言うのですか!」


 禍々しい魔力が一気に膨れ上がる。


 錫杖から黒い光が溢れ、周囲の邪神教徒たちを包み込んだ。


「うあああああっ!」


 教徒たちの魔力がさらに増大する。


 筋力、速度、全てが一段階引き上げられた。


「邪法の強化が……!」


 テオドールが顔をしかめる。


 強化された教徒たちが一斉に襲い掛かる。


「くっ!」


 レオンが受け止める。ガイウスも盾を押し込まれ、一歩後退した。ノエルも数の多さに押され始める。


 ロザリウスはフィアナだけを見据えて叫んだ。


「あなたも、いつか同じ目に遭う!神を信じ!神に裏切られる!」

「その時になって初めて理解する!この世界に救う価値などないと!」


 しかし、フィアナは一歩も引かなかった。


「違います」


 その声は穏やかだった。


「私は、それでもルミナリア様を信じています」


 一瞬、ロザリウスの表情から理性が消えた。


「黙りなさい!!」


 禍々しい魔力が周囲を震わせる。


 その時だった。


「あー、いたいた」


 場違いなほど軽い声が響く。


 全員が振り返る。


 建物の屋根の上に、一人の男が退屈そうに座っていた。


 紫がかった黒髪が風に揺れ、赤い瞳が愉快そうに細められている。


 その頭には、天へと伸びる黒い角。


 まるでこの場の惨状すら娯楽の一つであるかのように、気だるげな笑みを浮かべていた。


 快楽主義者の四天王、ゼルキスだった。


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