第335話
第335話
闘技場から飛び出した学生たちは、それぞれの判断で各地へ散っていく。
燃え上がる建物、逃げ惑う人々。街中には魔物や邪神教徒、さらには魔族の姿まであった。
武闘大会は、一瞬にして戦場へと変わっていた。
アルトとカインは自然と並ぶ。
「好き勝手暴れてるみてぇだな」
カインが獰猛に笑う。
アルトは静かに剣を抜いた。
「まずは被害を食い止める。話はそれからだ」
二人は魔物の群れへ飛び込んでいく。
圧倒的な剣技で次々と敵を薙ぎ倒していった。
一方、グランヴェルはディアナ、ヴァルクと共に街を駆ける。
「魔族を優先して叩く。雑魚は他の者に任せろ」
「了解!」
三人は連携しながら魔物を斬り伏せ、人々を避難させていく。
別の通りでは、レオンたち勇者パーティが魔物の群れと交戦していた。
「はあっ!」
レオンの剣が魔物を斬り裂く。
ルーチェが光魔法で援護し、フィアナが負傷者を癒やす。
ガイウスが前線を支え、テオドールは魔法で広範囲を制圧。
ノエルが高速で街中を駆け回り、逃げ遅れた住民を救出していく。
邪神教徒も現れ始めた。
「邪神様のために!」
狂気じみた叫びを上げながら襲い掛かる信徒たち。
レオンは容赦なく剣を振るう。
「みんな、大丈夫か!」
「問題ありません!」
フィアナが答える。
テオドールも魔法を放ちながら頷いた。
「この程度ならまだ何とか」
ガイウスが魔物を盾で弾き飛ばす。
「次!」
その時、レオンがふと周囲を見回した。
「……そういえば、ルシアンは?」
テオドールが思い出したように言う。
「準決勝の途中から、気になることがあると言って席を外してから戻ってきていないな」
レオンは僅かに眉をひそめる。
「何かあったのかな……」
その疑問に答える者はいない。
今は目の前の敵を倒すことしかできなかった。
そして、アーカディアの各地で戦闘が激化する中、本当の脅威が静かに動き始めていた。
邪神教。
幹部――魔族の裏切り者ヴァルクレイン。
堕ちた聖職者ロザリウス。
そして、かつてルミナス騎士団最強と謳われた男、バルドリック。
三人は邪神の欠片を目指し、街の奥深くへ侵入する。
一方、魔族側も動く。
四天王、好戦のドラクス。
そして、快楽主義者――ゼルキス。
彼らもまた、それぞれの目的を胸にアーカディア内部へ足を踏み入れていた。
まだ誰も知らない。
これから始まる戦いこそが、この襲撃の本番であることを。




