表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界  作者: 影川明空人
第7章 学園2年目 武闘大会編
331/384

第330話

第330話


 準々決勝第二試合。


「三年生代表、ゼルヴァイン・クロード!」

「二年生代表、レオン!」


 大きな歓声の中、二人が闘技場へ姿を現す。


 ゼルヴァインは静かに剣を抜いた。


「二年生代表か。勇者という肩書きだけで勝てるほど甘くはない」


 レオンも剣を構える。


「分かっています。だから勝ちに来ました」


 ゼルヴァインは僅かに口元を緩めた。


「面白い」


「始め!」


 開始の合図と同時にゼルヴァインが踏み込む。


 速い。


 初撃から一切の迷いがない。


 レオンは剣で受け止めるが、そのまま押し込まれた。


「ぐっ……!」


 続く二撃目、三撃目。流れるような剣技で攻める隙を与えない。


 観客席からも声が上がる。


「やっぱりゼルヴァイン先輩だ!」


「三年最強は伊達じゃない!」


 レオンは防戦一方だった。それでも視線だけは逸らさない。


(速い、でも……)


 剣筋、踏み込み、体重移動、呼吸。その全てを目に焼き付ける。


 ルシアンとの特訓で身につけた癖だった。


 まず見る、理解する。そして取り込む。


 ゼルヴァインの剣が再び襲い掛かる。レオンは受け流す。


 先ほどよりも僅かに滑らかだった。


「ほう」


 ゼルヴァインが眉を上げ、さらに攻める。


 レオンはまた受ける。今度は足運びまで真似始めていた。


(覚えている……?)


 ゼルヴァインは小さく目を細める。


 戦いながら自分の技術を盗んでいる。


 そんな馬鹿な話があるのか。


 しかし、現実にレオンは少しずつ対応してきていた。


 剣速、踏み込み、切り返し。一つ、また一つと成長していく。


 観客席でもざわめきが起こる。


「押されてたはずなのに」


「勇者の動きが変わってきたぞ」


 レオンは一歩も引かなかった。


 ルーチェも後方から魔法で援護する。


 光弾、水刃。ゼルヴァインも魔法で迎撃しながら剣を振るい続ける。


 互角。


 いや、徐々にレオンが追い付き始めていた。


(これほどとは……!)


 ゼルヴァインの胸に焦りが生まれる。


 このままでは追い越される。


 攻勢を強めた。


 鋭い連撃。


 普通なら防ぎ切れない。


 だが、レオンも応じる。


 ほんの数分前まで出来なかった動きを、当然のように繰り出していた。


「まだ!」


 ゼルヴァインが踏み込む。


 その瞬間、ほんの僅かだが、重心が前へ流れた。


(今だ!)


 レオンはその一瞬を見逃さなかった。


 一歩踏み込み、剣を弾く。


 体勢が崩れる。そこへ一気に攻め込んだ。


 ゼルヴァインは防戦に回る。


 一撃、二撃、三撃。今度はレオンが押していた。


「くっ……!」


 最後の一閃。


 ゼルヴァインの剣が宙を舞う。


 レオンの剣先が喉元で止まった。


 静寂。


「そこまで!」


 審判の声が響く。


「勝者、レオン!」


 会場が大歓声に包まれる。


 三年最強、ゼルヴァイン・クロード撃破。


 大金星だった。


 ゼルヴァインは苦笑しながら剣を拾う。


「恐ろしい成長速度だ。戦いながら強くなるとは」


 レオンも息を整えながら頭を下げる。


「ありがとうございました」


 全身には汗が滲んでいる。


 体力も魔力も確かに消耗していた。


 だが、まだ戦える。


 次の試合へ向けるだけの余力は、十分に残されていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ