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果てなき世界  作者: 影川明空人
第7章 学園2年目 武闘大会編
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第327話

第327話


 初日最後の試合。


「四年生代表、カイン・ブラッドレイ!」

「一年生代表、セシル!」


 観客席の熱気は今日一番だった。


 昨年準優勝、四年生最強格の一人、カイン。


 対するは一年生首席、セシル。


 実力差は歴然。


 SSランク中位とSランク中位。


 まともにぶつかれば勝負にならない。


「始め!」


 開始と同時、セシルが飛び出した。


 真正面から打ち合う気はない。


 剣を合わせては距離を取り、地魔法で足場を崩していく。


 地面が盛り上がり、陥没する。普通の剣士なら体勢を崩すような地形。


 しかし。


「甘ぇな」


 カインは笑う。


 軽く足を踏み鳴らす。


 その瞬間、乱れた地形が元に戻った。


「なっ……!」


 セシルが目を見開く。


 魔法の技術でもカインが上だった。


「面白ぇ考えだ。だが、俺に地属性で勝負しようなんざ十年早ぇ」


 カインが一気に距離を詰める。


 凄まじい踏み込み。


 セシルは剣で受ける。


 重い。


 まるで巨岩がぶつかったような衝撃だった。


「ぐっ……!」


 吹き飛ばされながらも体勢を立て直す。


 再び地魔法。


 今度は岩の壁を作り、視界を遮る。


 その裏から回り込もうとした。


「そこか」


 壁ごとカインが剣で叩き斬る。岩が砕け散る。


「そんな……!」


 セシルは後ろへ飛び退く。


 反撃の糸口が見つからない。


 それでも、剣を握る手は緩めなかった。


「まだです!」


 再び踏み込む。


 細かな剣技で隙を窺う。


 だが。


「技は悪くねぇ」


 カインは笑う。


「面白ぇ」


 剣を受けながら楽しそうに笑う。


 セシルの技術、判断力。どれも一年生とは思えない。


 それでも。


「まだ足りねぇ!」


 カインの剣が振り下ろされた。


 圧倒的な膂力の一撃をセシルは受け止めようとする。


 しかし、耐えきれない。


 剣ごと弾き飛ばされ、そのまま競技場を転がった。


 何とか立ち上がろうとする。


 膝が震える。


 そこへ、カインの剣が目の前で止まった。


「そこまで!」


 審判の声が響く。


「勝者、カイン・ブラッドレイ!」


 会場から大きな拍手が送られた。


 カインは剣を肩へ担ぎながら笑う。


「お前、面白ぇな」


 セシルは悔しそうに拳を握る。


「ありがとうございます」


 カインは首を横に振った。


「けどよ。グランヴェルの方が面白かったぜ」


 セシルは少し驚いた表情を見せる。


 カインは続ける。


「技術はいい、頭も回る。けど、お前にはまだ気迫が足りねぇ。勝つためなら全部ぶつけるって覚悟が、まだ見えねぇんだ」


 セシルは静かにその言葉を受け止めた。


 その瞳には悔しさと、次こそはという強い決意が宿っていた。


 こうして武闘大会本戦初日は全日程を終えた。


 翌日は休養日。


 一日身体を休めた後、準々決勝が行われる。


 組み合わせは四試合。


 アルト・セイリオス 対 ノエル。


 ゼルヴァイン・クロード 対 レオン。


 グランヴェル・レグナス 対 エドワード・フェーン。


 クラリス・リュクレール 対 カイン・ブラッドレイ。


 いよいよ、本当の頂上決戦が始まる。


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