第324話
第324話
第三試合。
四年生代表、イアン・クロムウェル。
三年生代表、ゼルヴァイン・クロード。
両者とも剣士。
試合開始と同時に激しい剣戟が繰り広げられた。
イアンの堅実な剣、対するゼルヴァインの洗練された剣技。
互いに一歩も譲らない。
観客席からも感嘆の声が上がる。
「さすが四年生」
「いや、ゼルヴァイン先輩も負けてない」
何十合と打ち合いが続いた末、僅かな隙を突いたゼルヴァインの一閃がイアンを捉えた。
「そこまで!勝者、ゼルヴァイン・クロード!」
イアンも悔しそうな表情を浮かべながらも、その結果を受け入れた。
続く第四試合。
「二年生代表、レオン!」
「一年生代表、リリア・エヴァレット!」
リリアが優雅に一礼する。
「ようやくですわね」
レオンは静かに剣を構える。
「前はセシルが邪魔をして、あなたの実力を見られませんでしたもの。今回は勇者の力、この目で見定めさせてもらいますわ」
「よろしく」
レオンも一礼する。
「始め!」
開始と同時、リリアの姿が消えた。
地を蹴り、一瞬でレオンの懐へ入り込む。
双短剣による高速連撃。
だが、レオンは冷静だった。
剣で全てを受け止める。
「っ!」
リリアが距離を取る。
(速い……でも)
レオンは内心で分析する。
(ノエルほどじゃない)
これまでルシアンとの訓練、そしてノエルとの模擬戦を何度も重ねてきた。
その経験が生きていた。
リリアは再び加速する。左右へ揺さぶりながら、死角へ回り込む。
だが、レオンはその動きを見失わない。
ルーチェの補助、そして勇者の加護による僅かな未来視。高速機動にも十分対応できていた。
「そんな……!」
リリアが焦りを見せる。
攻撃が届かないどころか、レオンは少しずつ反撃を織り交ぜ始めていた。
剣を受け流し、反転。
一閃。
リリアは紙一重で避ける。
「危なっ……!」
観客席もどよめく。
「今のを返したのか」
「勇者、強いな」
リリアは歯を食いしばる。
「まだですわ!」
さらに速度を上げる。
だが。
「もう見切った」
レオンは静かに踏み込む。
リリアの双短剣を弾き飛ばす。
そのまま剣先を首元へ向けた。
勝負あり。
「そこまで!勝者、レオン!」
会場から拍手が起こる。
リリアは悔しそうにレオンを見つめた。
「完敗ですわ。勇者の名は伊達ではありませんのね」
レオンは剣を収め、小さく頭を下げた。
「ありがとうございました」
こうして、一回戦第四試合はレオンの勝利で幕を閉じた。




