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果てなき世界  作者: 影川明空人
第7章 学園2年目 武闘大会編
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第317話

第317話


 準々決勝第三試合。


 ノエルがシャロンを破り、三人目の代表者が決定した。


 残る代表枠は、あと一つ。


「準々決勝第四試合!」

「レオン対ガイウス!」


 名前を呼ばれた二人が、競技場へ姿を現す。


 レオンは剣を抜き。


 ガイウスは盾と剣を構えた。


「まさか代表決定戦でレオンと当たるとはなぁ」


 ガイウスが苦笑する。


「嫌だったか?」


「そりゃな。俺だって代表になりたいんだぞ」


「だったら俺を倒せばいいだろ」


「簡単に言ってくれるな」


 ガイウスは大きく息を吐いた。


 そして盾を前へ出す。


「まあ、やるからには勝つつもりで行くけどな」


「ああ」


 レオンも剣を構える。


「俺も本気で行く」


 二人の視線が交差した。


「始め!」


 開始の合図と同時、先に動いたのはレオンだった。


 一気に距離を詰め、剣を振り下ろす。


 ガイウスは盾を傾けた。


 剣と盾がぶつかる。


 だが、正面から受け止めたわけではない。


 盾の角度を僅かに変え、レオンの剣を横へ流す。


「っ!」


 体勢を崩したレオンへ、ガイウスの剣が迫る。


 レオンは身体を反らして躱し、そのまま後方へ跳ぶ。


「危なっ」


「どうだ」


 ガイウスが笑う。


「俺だって、この一年遊んでたわけじゃないからな」


「ああ」


 レオンも笑い返す。


「前よりずっと上手くなってるな」


「褒めても手加減しないぞ」


「すると思ってないよ」


 再びレオンが前へ出る。


 横薙ぎ。


 盾で受け流される。そのまま回転しながら斬り返す。


 今度は剣で受け止められた。


 金属音が響く。


 ガイウスが盾を押し込む。


「おおおっ!」


 レオンが押し返される。


 そこへ剣が迫った。


 受ける。


 剣同士が激突した。


「ガイウス、強くなったな」


 観客席でテオドールが呟く。


「以前はもっと盾に頼った戦い方だった」


 フィアナも頷く。


「今は防御から攻撃への切り替えが速くなっていますね」


「守るだけじゃない」


 ノエルが言う。


「レオンの攻撃を利用してる」


 以前のガイウスは攻撃を受け止める。そして、そこから反撃する。防御と攻撃が分かれていた。


 しかし、今は違う。


 攻撃を受け流し、崩れたところを狙う。


 盾で相手の視界を塞ぎ、死角から剣を振るう。


 防御そのものが次の攻撃へ繋がっていた。


 競技場では、二人の攻防が続いていた。


 レオンが攻め、ガイウスが防ぐ。受け流し、反撃。レオンがそれを躱す。


 そして、再び攻める。


 一進一退。


 少なくとも試合の序盤は、そう見えた。


「やるな、ガイウス!」


「お前に言われると悪い気はしないな!」


 盾と剣が激突する。


 だが、しばらくしてレオンが一度、大きく距離を取った。


「どうした?」


「いや」


 レオンは剣を構え直す。


「そろそろ行こうと思って」


「……何をだ?」


 その時、光が舞った。


 レオンの隣にルーチェが並ぶ。


「ルーチェ!」


「ウン!」


 ガイウスの表情が引きつる。


「……あ」


 レオンが笑った。


「行くぞ!」


「ウン!」


 次の瞬間、レオンが踏み込んだ。


「来い!」


 ガイウスが盾を構える。


 レオンの剣が振り下ろされる。


 盾で受ける。


 その瞬間。


「っ!」


 側面から光弾が飛んできた。


 ルーチェの魔法。


 ガイウスは咄嗟に身体を捻り、光弾を避ける。


 だが、その隙をレオンは逃さない。


 剣を振るう。


「くっ!」


 ガイウスは盾で防ぐ。


 すると今度は背後に光が集まった。


「またかよ!」


 岩壁を作り出す。


 光弾が岩壁へ直撃し、砕ける。


 そこへ、レオンが飛び込んでくる。


「おおっ!」


 ガイウスは剣で受け止めた。


 だが次の瞬間、ルーチェがレオンの剣へ光を纏わせる。


「はあっ!」


「ぐっ!」


 ガイウスが押し返された。


 盾を地面へ突き立て、なんとか踏み止まる。


「……おい」


 ガイウスがレオンを見る。


「なんだ?」


「二対一はずるくないか?」


「ルーチェも俺の力だからな」


「ウン!」


 ルーチェも胸を張る。


「ほら、本人もこう言ってる」


「いや、何も言ってないだろ」


「ウンって言った」


「そういう問題か?」


 観客席から小さな笑い声が起こる。


 だが、ガイウスはすぐに表情を引き締めた。


「まあいいや」


 盾を構える。


「二人まとめて相手してやる」


 レオンも笑う。


「ああ、行くぞ!」


 再び激突する。


 だが今度は先ほどまでとは違った。


 レオンを防げば、ルーチェが来る。


 ルーチェの魔法を防げば、レオンが来る。


 それだけではない。


 レオンが攻撃する瞬間、ルーチェが剣を強化する。


 ガイウスが反撃しようとすれば、光の壁が一瞬だけ、その動きを阻害する。


「くそっ!」


 ガイウスは必死に耐える。


 盾で防ぎ、剣で受け、地魔法で足場を変える。


 それでも徐々に、追いつけなくなっていく。


 レオンとルーチェ、二人の呼吸があまりにも合っている。


 そして。


「ルーチェ!」


「ウン!」


 ルーチェが光を放つ。


 ガイウスは盾を構えた。


 光弾が盾へ直撃する。その衝撃に耐えた瞬間、レオンが側面へ回り込んでいた。


「しまっ――」


 剣を振るう。


 ガイウスの手から武器が弾き飛ばされた。


 そしてレオンの剣が、首元で止まる。


「そこまで!」


 審判の声が響いた。


「勝者、レオン!」


 大きな歓声が上がる。


 レオンは剣を下ろした。


「ありがとうございました」


「ああ」


 ガイウスも盾を下ろす。


 そして大きく息を吐いた。


「いやぁ……。強くなりすぎだろ」


「そうか?」


「最初は行けるかもって思ったんだけどな」


 ガイウスはルーチェを見る。


「こいつが加わってから全然駄目だった」


「ウン!」


「褒めてないからな?」


「ウン!」


「絶対分かってないだろ」


 レオンが笑う。


「でも」


 ガイウスはレオンを見る。


「本当に強くなったな。前よりずっと」


 レオンは少しだけ目を見開いた。


 そして。


「ああ」


 頷く。


「でも、まだ足りない。もっと強くならないといけないからな」


「……そうか」


 ガイウスは笑った。


「なら俺も、もっと強くならないとな」


 二人は拳を合わせる。


 これで、二年生の代表四名が決定した。


 グランヴェル、レティシア、ノエル、そしてレオン。


 だが今日の戦いは、まだ終わっていない。


 この後、準決勝。


 グランヴェル対レティシア。


 レオン対ノエル。


 二年生最強の座を懸けた戦いは、いよいよ終盤へと入ろうとしていた。


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