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果てなき世界  作者: 影川明空人
第6章 学園2年目
311/384

第310話

時間ずれました。

予約投稿したつもりでしてなかったです。

第310話


 ヒューギルの部屋を後にし、レオンとルシアンは学園内を並んで歩いていた。


 二人とも口数は少ない。


 先ほど聞かされた話は、それほどまでに重かった。


 しばらく歩いたところで、ルシアンが静かに口を開く。


「レオン」


「なんだ?」


「今、世界はヒューギル様がおっしゃっていたように、大きく変わろうとしています」


 レオンは黙って耳を傾ける。


「魔物の活性化、魔族の動き、十七厄災、そして邪神教。今回の遠征だけでも、その片鱗は十分に見えました」


 ルシアンは空を見上げる。


「これから先は、今までのようにはいきません」


「……そうだな」


 レオンも頷く。


 遠征で戦ったヴォイド。あれほどの相手が魔王軍にはまだ数多く存在する。


 さらに四天王、十七厄災。想像するだけで、その壁の高さが分かる。


「それと」


 ルシアンは視線をレオンへ向けた。


「二年生の武闘大会まで、あと一ヶ月ほどしかありません」


「早いな」


「ええ、なので」


 ルシアンは淡々と言う。


「これからは、いつもより厳しめにやります」


 レオンは苦笑した。


「やっぱりか」


「貴方がゆっくり強くなっていくことを、世界が許してくれなさそうなので」


 その言葉には冗談が一切含まれていなかった。


 レオンもそれを理解している。


 胸の奥には、少しだけ重苦しいものがあった。


 ヒューギルから言われた言葉。


『SSSランクの力を手に入れなければならない』


 その言葉が何度も頭の中で繰り返される。


 正直、プレッシャーはある。


 だが。


(俺は勇者だ)


 逃げるわけにはいかない。


 グランヴェルも、カインも、皆が必死に強くなっている。


 自分だけ立ち止まるわけにはいかなかった。


「……負けられないな」


 レオンが小さく呟く。


 ルシアンは少しだけ笑った。


「その意気です」


 するとルーチェがふわりとレオンの肩へ降り立った。


「レオン。イッショ、ガンバル」


 レオンは優しく笑う。


「ああ、これからはルーチェとも、もっと連携を深めていこう」


 ルーチェは嬉しそうに何度も頷いた。


「ウン!」


 ルシアンもその様子を見て頷く。


「中位精霊になったことで、ルーチェも以前よりできることが増えています。レオンだけではなく、ルーチェも成長させていきましょう」


「分かった」


 レオンの目には、もう迷いはなかった。


「では」


 ルシアンが歩き出す。


「早速始めましょう」


「え、今日からか?」


「もちろんです」


 即答だった。


「ヒューギル様より、専用訓練所の使用許可もいただいています。準備は万全です」


 レオンは苦笑しながら頭を掻く。


「相変わらず準備がいいな」


「事前準備は大切ですから」


 二人は並んで歩き始める。


 目指すのは、学園の奥にある特別訓練施設。


 勇者をさらに強くするための、一ヶ月にも及ぶ厳しい修行が、今始まろうとしていた。


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