表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界  作者: 影川明空人
第6章 学園2年目
306/389

第305話

第305話


「始め」


 ルシアンの合図と同時に、グランヴェルが地を蹴った。


 最初から全力。


「来い!」


 その声に応えるように、火の中位精霊が姿を現す。


「グランヴェル!イクゾ!」


 精霊の魔力が流れ込み、赤い炎が一瞬で黄金へと染まった。


 周囲の空気が一気に熱を帯びる。


「……あれが、黄金の炎か」


 アルトが静かに呟く。


 カインは獰猛な笑みを浮かべた。


「そうこなくっちゃな」


 グランヴェルは一直線に距離を詰める。


 短期決戦。


 黄金の炎はまだ長時間維持できない。


 だからこそ、一瞬で決める。


「はああぁぁっ!!」


 炎を纏った大剣が振り下ろされる。


 だが、カインは避けない。


 真正面から剣を振るった。


 ――轟ッ!!


 凄まじい衝撃が結界内を駆け抜ける。岩肌が砕け、土煙が舞う。


 二人は互角に鍔迫り合う。


 だが、その均衡も一瞬だった。グランヴェルは炎をさらに強める。


「押し切る!」


 黄金の炎が爆発するように燃え上がった。


 カインの腕や肩へ炎が掠め、皮膚が焼け、浅い傷が刻まれた。


 しかし。


「だから何だ」


 カインは笑っていた。


 その目は獲物を見つけた猛獣そのもの。


「もっと来い!」


 次の瞬間、カインが踏み込む。


 ただ、それだけだった。


 特別な技でもない、魔法でもない、純粋な踏み込み。純粋な剣技、純粋な膂力。


 それだけで空気が弾けた。


「っ!?」


 グランヴェルの表情が変わる。


 重い、あまりにも重い。


 押し返される。


「まだだ!」


 黄金の炎を纏い直し、再び斬りかかる。


 だが、カインは一歩も引かない。


 剣を振るい、受ける。弾く。


 その一つひとつが洗練されていた。


 獣のような戦闘勘。


 理屈ではない。


 経験と直感だけで、最善の一手を選び続けている。


「ぐっ……!」


 グランヴェルが押され始める。


 火力では確かに成長した。昨年とは比べ物にならない。それでも、カインはそれ以上だった。


「終わりだ」


 低く呟く。


 次の瞬間、全身を使った豪快な一撃。


 ――ドォン!!


 グランヴェルの剣ごと弾き飛ばした。


「がっ……!」


 身体が宙を舞う。そのまま一直線に飛ばされ、ルシアンが展開した結界へ激突した。


 轟音。


 結界が大きく波打つ。


 グランヴェルは膝をつき、そのまま立ち上がれなかった。


 静寂。


 ルシアンはゆっくりと右手を上げる。


「そこまで、勝者カイン」


 カインは剣を肩へ担ぎ直し、満足そうに笑った。


「やっぱり面白ぇな、お前」


 グランヴェルは悔しそうに息を吐きながらも、小さく笑う。


「……化け物め」


 その言葉に、カインは楽しそうに笑い声を上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ