表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界  作者: 影川明空人
第6章 学園2年目
305/387

第304話

第304話


 遠征学習は中止となり、一行はアーカディアへの帰路についていた。


 幸い、その後は魔物や魔族と遭遇することもなく、順調に進んでいる。


 そして帰路の野営、行程も既に半分以上を終えていた。


 夕方、焚き火の周りでは、ようやく緊張から解放された生徒たちが思い思いに過ごしている。


「ルーチェ、ありがとうな」


 レオンが笑いながら話しかける。


 中位精霊となったルーチェは嬉しそうに宙を一回転した。


「レオン、モットツヨクナル!」


「はは、それは俺も頑張らないとな」


 その様子を見ていたフィアナは自然と笑みを浮かべる。


「すっかり仲良しですね」


「まあね」


 ノエルも口元を緩めた。


 シルフィも楽しそうにルーチェの周りを飛び回る。くるくると弾むように舞いながら、嬉しそうに光を瞬かせる。ルーチェもそれに応えるように明るく輝いた。


 一方、ルナはいつも通りノエルの肩に静かに座っていた。シルフィが腕を引っ張るように手を振る。小さく跳ねながら、こちらへ来るように何度も促す。


 ルナは最初こそ知らんぷりしていたが、小さくため息をつくと二人の方へ飛んでいく。


 その姿を見てノエルが苦笑した。


「なんだかんだ仲良くなってきたね」


「ええ」


 フィアナも頷く。


 そんな穏やかな時間を過ごしていると、二人の人物がこちらへ歩いてきた。


「ルシアン」


 グランヴェルだった。


 隣にはカインの姿もある。


「どうしました?」


 ルシアンが尋ねる。


 グランヴェルは腕を組んだまま答えた。


「模擬戦だ。相手はこの男」


 親指でカインを指す。


 カインは獣のような笑みを浮かべた。


「昨年の武闘大会以来だ」


 ルシアンは少しだけ納得したように頷く。


「なるほど、それで私に何を?」


「審判を頼みたい」


 今度はカインが口を開く。


「それと、万が一本気になりすぎた時のストッパーだな。アルトにも頼んである」


 ちょうどそのタイミングでアルトも姿を現した。


「話は聞いている。俺は止め役だ」


 ルシアンは二人を見比べる。


「教員の許可は?」


「もちろん取ってある」


 カインが答えた。


「ギデオン先生からも許可は出てる」


 グランヴェルは静かに言う。


「今回の遠征では不完全燃焼だった。力を試す相手もいなかったからな」


 カインが笑う。


「俺は逆に面白かったぞ。こいつとは結構話したしな」


 レオンが少し驚く。


「一緒の班だったんですか?」


「ああ」


 カインは頷いた。


「俺がこいつの班の担当だった。昨年戦ってから気に入ってたしな」


 グランヴェルは少しだけ嫌そうな顔をする。


「勝手についてきただけだ」


「ははっ」


 カインは豪快に笑った。


「そういうことにしといてやる」


 ルシアンたちは少し離れた場所へ移動する。野営地から十分離れた、開けた岩場。戦うには申し分ない場所だった。


 ルシアンは静かに前へ出る。


「それでは」


 ルシアンが片手を掲げると淡い光が周囲へ広がり、巨大な半球状の結界が展開された。


 外へ被害が及ばないよう、魔力を幾重にも重ねる。


 アルトは腕を組み、二人の中央付近へ視線を向けた。


「俺は止め役だ。派手にやるのは構わんが、加減はしろ」


 カインは剣を肩へ担ぐ。


「加減?そんなもんできる相手じゃねぇだろ」


 グランヴェルも黄金の瞳を細めた。


「同感だ」


 二人はゆっくりと距離を取る。


 張り詰めた空気。


 互いの視線が交差する。


 ルシアンは二人を見渡し、静かに右手を上げた。


「それでは――始め」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ