↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界  作者: 影川明空人
第6章 学園2年目
296/396

第295話

第295話


 黒嶺山脈での探索が始まった。


 森林と岩場が入り混じる山道を慎重に進みながら、周囲を警戒する。


 先頭はノエル、斥候として周囲の索敵を担当している。その肩にはルナ、少し前を元気よく飛び回るのはシルフィだった。


「シルフィが嬉しそうですね」


 フィアナが微笑む。


「山の風が気持ちいいんじゃない?」


 ノエルも笑う。


 シルフィはくるくると宙を舞い、楽しそうに風を操っていた。


 その後ろではレオンの肩に乗ったルーチェも周囲を見渡している。


「ルーチェ、何か見つけたか?」


 レオンが声を掛けると、ルーチェは小さく身体を揺らして返事をする。


「便利ですね」


 ルシアンが呟く。


「精霊がいるだけでも索敵能力はかなり上がります」


 そんな会話をしていると、ノエルが足を止めた。


「来る」


 次の瞬間、岩陰から狼型の魔物が三体飛び出した。


「俺が行く!」


 レオンが駆け出す。


 剣を抜き、一体目を迎え撃つ。


 ルーチェが周囲を飛び回りながら光を放ち、レオンの動きを補助する。


 続く二体目はガイウスが盾で受け止める。


 その隙にテオドールの風刃が飛ぶ。


 最後の一体はノエルが背後へ回り込み、一瞬で急所を切り裂いた。


 わずか数十秒で戦闘は終わった。


「終わり!」


 ガイウスが笑う。


 その様子を後方からアルトとライルが静かに見守っていた。


「いやぁ、二年生って聞いてたけど、十分強いな」


 その後も探索は順調だった。


 指定された薬草を採取し、魔物の素材を回収し、岩場では希少鉱石もいくつか見つかる。


 ガイウスが大きな鉱石を抱えながら笑った。


「これ結構高そうじゃね?」


「品質も悪くないな


 テオドールが確認する。


「査定が楽しみですね」


 フィアナも微笑んだ。


 順調だった。


 だが昼過ぎ。


 ノエルが再び足を止める。


「……待って」


 全員が止まる。


 ノエルは地面へしゃがみ込んだ。


「これは」


 レオンも近付く。


「足跡か?」


「うん」


 ノエルは真剣な表情で頷いた。


「しかも大きい」


 ルシアンも跡を確認する。


 岩肌には深い爪痕。


 木々には大きく抉られた跡。


「Sランクでしょうね」


 その一言で空気が引き締まる。


 ギデオンも無言で周囲を見渡した。


「まだ新しい、近くにいる可能性がある」


 誰も異論はなかった。


 今の目的は討伐ではない。


 遠征学習だ。


 その後も慎重に探索を続け、大きな問題なく一日目は終了した。


◇ ◇ ◇


 日が沈み始める頃。


 一行は山腹にある天然の洞窟へ到着した。


 ルシアンの指示に従い、手際よく準備が進む。


 洞窟の入口付近には結界。


 奥には焚き火。


 交代で見張りも配置された。


 外では冷たい山風が吹き続けている。


 遠くから魔物の遠吠えが響いた。


 焚き火を囲みながら、レオンは静かに呟く。


「やっぱり黒嶺山脈は空気が違うな」


 ルシアンも外へ目を向ける。


「ええ、まだ一日目ですからね。本番はこれからでしょう」


 その言葉通り、一日目は何事もなく終わった。


 しかし、この山には確かにSランクの魔物が息づいている。


 その気配だけが、静かに一行を見下ろしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。