↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
果てなき世界  作者: 影川明空人
第6章 学園2年目
294/402

第293話

第293話


 遠征学習当日。


 まだ日も昇り切らない早朝。


 アーカディアの正門前には、今回遠征へ向かうSクラスの面々が集まっていた。


 冷たい朝の空気の中、レオンは肩へ舞い降りた光の下位精霊へ微笑む。


「おはよう、ルーチェ」


 名前を呼ばれたルーチェは嬉しそうに身体を揺らし、レオンの頬へぴたりと寄り添った。


「今日もよろしくな」


 ルーチェは何度も頷くようにふわふわと上下に浮かぶ。


 一方、ノエルの周りでは二体の精霊がいつも通り自由気ままに過ごしていた。


「シルフィ、朝から元気だね」


 風の下位精霊シルフィは元気よく飛び回り、ノエルの髪をくしゃくしゃにする。


「こらこら」


 苦笑しながら髪を整えるノエル。


 肩では闇の下位精霊ルナが静かに座り、周囲を警戒するように眺めている。


「ルナもおはよう」


 ルナは小さく頷くだけだった。


 その様子を見ていたガイウスが首を傾げる。


「やっぱ見えねぇなぁ。俺にも見えたら面白いのに」


「残念でした」


 ノエルは笑う。


 そこへ二人の四年生が歩いてきた。


 一人は肩ほどの長さの黒髪の青年。


 落ち着いた雰囲気を纏い、堂々とした立ち姿からも実力の高さが伝わってくる。


 Sクラス二位、アルト・セイリオス。


 そしてもう一人。


 茶色の短髪に快活な笑みを浮かべた青年だった。


「おはよう!」


 片手を上げながら近付いてくる。


「俺はライル・フェンリス! 四年Sクラス十位だ!よろしくな!」


 気さくな笑顔に、ガイウスも思わず笑顔になる。


「よろしくお願いします!」


 レオンはアルトへ向き直った。


「合同遠征では助けてくださって、ありがとうございました」


 アルトは静かに頷く。


「礼には及ばん。結局、ゼルキスには何一つ通じなかったがな」


 一瞬だけ苦い表情を見せる。


 しかしすぐに口元が上がった。


「だが、俺も技を磨いてきた。アレス先輩もいない今年の武闘大会。カインを倒して優勝するのは俺だ」


 その宣言にレオンも笑う。


「俺も今年はもっと勝つつもりです。負けませんよ」


 アルトは楽しそうに笑った。


「おもしろい」


 二人の間に火花が散る。


 するとライルが慌てて間へ入った。


「ちょっと待てって!今日は二年の遠征学習の護衛だろ!朝から武闘大会始めるな!」


 頭を掻きながら苦笑する。


「悪ぃな」


 フィアナは微笑んで首を横に振った。


「大丈夫ですよ」


 テオドールがぼそりと呟く。


「見た目と違って、アルト先輩は随分血気盛んなようだな」


 ライルは苦笑した。


「まあなぁ。あのカインと幼馴染だから。昔からずーっと勝った負けたを繰り返してるんだよ」


「余計なことを言うな」


 アルトが低い声で返す。


「ははは!」


 ライルは全く気にした様子もなく笑った。


 その時だった。重い足音が響く。


 全員が自然と姿勢を正す。


 現れたのは今回同行する教員だった。


 鋭い眼光、隙のない立ち姿、無駄のない筋肉。


 その場へ立つだけで空気が張り詰める。


 第一印象は、とにかく怖い。教員は一人ひとりを見渡した。


「全員揃っているな」


 低く響く声だった。


「私は教員のギデオン・ヴォルグだ。今回の遠征では諸君らに同行する。無事に帰ることを最優先としろ。以上だ」


 短く、それだけ告げる。


 ライルが小声で笑った。


「相変わらず堅いんだよなぁ」


 ギデオンは一瞥する。


「ライル」


「はい!」


 背筋を伸ばすライルに、ガイウスたちは思わず笑いそうになるのを堪えた。


 アルトが前へ出る。


「では、出発する」


 勇者パーティも頷く。


 こうして一行は、黒嶺山脈を目指して移動を始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。