第252話
第252話
アステルとの情報交換は、その後もしばらく続いた。
深淵樹海の魔物傾向、危険植物、階層ごとの特徴、迷いやすい区域、夜間の危険性、水場付近の注意点。
ルシアンたちは質問を重ね。
アステルもかなり丁寧に答えてくれた。
SSランク冒険者の情報。その価値は非常に高い。
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気づけば昼時。
ちょうどその頃、資料室へ行っていたテオドールとフィアナも戻ってきた。
「結構盛り上がってたみたいですね」
フィアナが少し苦笑する。
ガイウスが笑った。
「めちゃくちゃ参考になった!」
アステルが立ち上がる。
「じゃあせっかくだし飯行くか。今日は俺の奢りで」
ガイウスの目が輝いた。
「マジですか!?」
「マジマジ」
アステルは軽く笑う。
案内されたのは、ギルド近くの食堂。
冒険者向けらしく量が多い。
昼時ということもあり賑わっていた。
食事をしながら、今度はこの都市の話になる。
ガイウスが興味津々で聞く。
「ここに来てからどのくらい経つんすか?」
「六年くらいかな」
レオンが少し驚く。
「そんなに長いんですね」
「まあな、深淵樹海に潜り始めてから、気づけばそれくらい経ってた」
ガイウスがふと聞いた。
「アステルさんって何歳なんですか?」
「二十八」
一瞬、全員が止まる。
「えっ」
「全然見えない……」
ガイウスが素直に言った。
アステルは慣れたように笑う。
「よく言われる」
テオドールが尋ねる。
「なぜこの都市に?」
「元々は帝国の方で冒険者やってたんだけど、ちょっと揉めてな」
「それでここに来た」
深くは語らない。
だが、なんとなく事情がありそうなのはわかった。
「今はダンジョン攻略してるのが楽しいよ」
アステルは笑う。
「……まあ、ちょっと行き詰まってるけどな」
レオンが反応する。
「行き詰まり?」
「ああ。五十層のボスをなんとか倒したまでは良かったんだけどな」
空気が少し真剣になる。
「次のエリアがヤバかった。毒沼、幻惑効果のある霧、とにかく妨害ばかりな場所でな」
ガイウスが嫌そうな顔をする。
「うわぁ……」
「そこまで行ったはいいものの、攻略は無理だって判断して戻った」
アステルは肩を竦めた。
「で、次行こうと思った時には、ボスが復活してた」
「……」
深淵樹海。
やはり異常なダンジョンだ。
「初めて勝てた時も結構運良かったからなりもう少しパーティ全体でレベルアップしないとしんどいかなって感じだ」
ルシアンは静かに聞いていた。
(SSランクパーティでも足止めですか)
やはり深層は別格。
フィアナが尋ねる。
「ダンジョンボスはどのくらいで復活するのですか?」
「階層によるな」
アステルが答える。
「浅い層ほど早い。五十層ボスは一ヶ月ちょっとくらいだった。そもそも、またそこまで行くのが大変だった上に復活してたからな」
ガイウスが感心したように呟く。
「ダンジョンも結構色々あるんだな……」
「まあな」
アステルは笑った。
「だから面白い」
食事が終わる。
店を出る頃には、日も少し傾き始めていた。
アステルは軽く手を振る。
「明日から潜るんだろ?。浅い層は君らなら大丈夫だと思う」
「……まあ、絶対はないから気をつけろよ」
レオンが真っ直ぐ頭を下げた。
「ありがとうございます!また会いましょう!」
アステルは少し笑った。
「ああ、生きてたらな」
軽い口調。
だが、それが冗談では済まない場所だと。
彼らはもう理解していた。




