第251話
第251話
ギルド内の個室。木製の丸机を囲み、ルシアンたちは席に着いていた。
向かいには金髪の青年――アステル。
軽い笑みを浮かべながら椅子へ深く腰掛けている。
だが漂う空気は只者ではない。
SSランク冒険者、《巡る星々》リーダー。
アステルが口を開いた。
「君ら、アーカディアの学生だろ」
ガイウスが少し驚く。
「俺らのこと知ってるんですか?」
「まあな」
アステルは軽く頷く。
「一応武闘大会観に行ったし」
そして、レオンとガイウスを見る。
「君と君は出てたもんな」
ガイウスが「あー」と納得した顔になる。
だが、アステルは続けた。
「それだけじゃなくても、その若さでそれだけ強い気配漂わせてたらなんとなく予想つくだろ。時期的にも試験ってやつだろ?」
ノエルが少し目を細める。
「知ってるんだ」
「まあな」
アステルは肩を竦めた。
「毎年この時期になるとアーカディアの一年がダンジョン潜りに来るから。まあ、今年はいつもより少し早い気がするが」
おそらく合同遠征の影響だろう。
ルシアンが静かに尋ねる。
「それで、何故私たちに声をかけてくれたのですか?」
アステルは少し笑った。
「単に君らのリスクを減らしてやりたいだけだよ」
「……あとは、包み隠さずに言うなら、知り合いになっておきたいからかな」
ガイウスが首を傾げる。
「なんでですか?」
アステルは自然体のまま答えた。
「君らはあのアーカディアの学生だ。いずれ大物になるだろう。そんな君らと知り合いになっておけば、後でいいことがあるかもしれない」
ノエルが呆れたように言う。
「ずいぶんぶっちゃけるね」
アステルは笑う。
「別にやましいことはないからな。俺が望むのは、情報を対価に知り合いになるってだけ。安いもんだろ?」
レオンが苦笑した。
「まあ、いいですけど」
その後、簡単な自己紹介が始まる。
「レオンです」
「ガイウス!」
「……ノエル」
そして最後。
「ルシアンです」
アステルは一人一人を見る。
だが、ルシアンを見た瞬間だけ。
ほんの少し、視線が止まった。
(……なんだ?)
一瞬だけ、妙な感覚。
だが、それ以上は掴めない。
アステルはすぐに笑みへ戻した。
「ちなみに」
アステルが机へ頬杖をつく。
「どこまで潜るつもりだ?」
ルシアンが答える。
「今のところは二十層までですかね。期間が一週間しかないので」
アステルは頷いた。
「妥当だな。その歳でそこまで行けりゃ十分すごい」
そして、少し真面目な顔になる。
「じゃあそこまでの情報を話そうか。君らが聞きたいことに俺が答える方式でいこう。これは知っといた方がいいなって情報は、こっちで補足する」
レオンたちも自然と真剣な表情になる。
SSランク冒険者。
しかも、深淵樹海五十層到達者。そんな男の情報は貴重だ。
アステルは軽く笑った。
「さて、何から聞きたい?」




