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果てなき世界  作者: 影川明空人
第5章 学園1年目 激動編
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第248話

第248話


 ダンジョン実習、移動当日。


 アーカディア学園前には大量の馬車が並んでいた。


 各パーティごとに振り分けられた馬車。


 生徒たちは荷物を積み込み、最終確認をしている。


 以前の遠征学習を思い出す光景。


 だが、今回は空気が少し違った。


 合同遠征の一件。


 あれ以降、学園全体がより慎重になっている。


「おぉー、結構人いるな」


 ガイウスが周囲を見る。


 勇者パーティへ同行するのは、


 試験官二名、そして四年生三名。


「初めましてね」


 最初に声をかけてきたのは、一人の女性だった。


 赤みがかった長髪、細身、一見すると華奢にも見える。


 だが、腰に差した細剣から漂う空気が違う。


「リゼリア・ハーケン、四年Sクラス所属よ」


 落ち着いた声。


 どこか鋭さを感じる。


「今回はよろしく」


「よろしくお願いします」


 レオンたちも頭を下げた。


 ルシアンは静かに観察する。


 おそらく、真正面から押し潰すタイプではない。


 “技”で戦う剣士。


 かなり厄介なタイプだ。


 その隣には見知った顔。


「また一緒ですね」


 ミレイだった。


 遠征学習でも同行していた女性。


 落ち着いた雰囲気は相変わらず。


「今度はダンジョンですね」


 フィアナが少し安心したように言う。


 ミレイは優しく笑った。


「ええ。前より成長した皆さんを見るの、楽しみにしてました」


 そして三人目。大柄な青年、黒髪短髪、かなりの体格で背中には巨大な大剣。


「俺はジーク・ヴァンハルト、四年Sクラス10位だ」


 低く落ち着いた声。


「前衛と壁役をやる」


 ガイウスが少し驚く。


「壁役って盾じゃないんですか?」


 ジークは軽く笑った。


「大剣でもできる。受け流すより、止めるタイプだ」


 そう言って軽く大剣を持ち上げる。


 重い。


 普通の人間なら持ち上げるだけで精一杯だろうが、ジークは片手で扱っていた。


「まあ、よろしくな」


 ガイウスが少し目を輝かせる。


「おぉ……!」


 続いて試験官、一人目。


 茶髪の青年、まだ若く、どこか軽い雰囲気。


「えーっと、俺はセイル・アルバート。教員見習いみたいなもんだ」


 腰には剣。軽そうに見えるが、纏う空気はしっかり強い。


「まあ、気軽に頼ってくれていいよ。危なくなったらちゃんと助けるから」


 軽く笑う。


 だが、ルシアンは感じ取る。


(軽そうに見せていますが……根は真面目そうなタイプですね)


 そしてもう一人、白髪混じりの壮年男性。


 背筋が真っ直ぐ伸びている。穏やかな目。


「私はグレイ・ランドルフ。元ルミナス騎士団所属だ」


 静かで礼儀正しい声。


「今はアーカディアで教員をしている」


 純粋な剣士、かなり鍛えられているのがわかる。


「よろしく頼む」


 全員が頭を下げる。



 馬車へ乗り込む前、グレイが静かに口を開いた。


「基本的に、我々は手助けをしないりそれは遠征学習と同じだ。だが、ダンジョンでは何が起こるかわからない」


 その目が少し鋭くなる。


「危険だと判断した場合はこちらも介入する」


 合同遠征。


 誰もがあれを思い出していた。


 だからこそ今回は人員も多い。


 四年生三名、試験官二名。


 例年より明らかに厚い布陣だった。


 セイルが肩を竦める。


「まあ、なるべく俺たちの出番がないのが理想だけどね。頑張ってくれよ一年生」


 レオンが頷く。


「はい!」


 その目にはしっかり闘志が戻っていた。


 そして馬車が動き出す。


 目的地は、ダンジョン都市アルディア。


 新たな試験が始まろうとしていた。


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