第246話
第246話
ダンジョン実習まで残り数日。
アーカディア学園では、それぞれが準備を進めていた。
一年Sクラス教室。
ルシアンたちは机を囲み、資料を広げていた。
ダンジョンごとの特徴。出現魔物、危険区域、素材価値、到達推奨階層。
様々な情報が並んでいる。
「で、結局どうするんだ?」
ガイウスが資料を見ながら言う。
レオンが即答した。
「俺たちは深淵樹海だろ」
迷いはなかった。
深淵樹海、三つの中で最難関。
未攻略領域もあり、高ランク魔物が多数出現する。危険度も高い。
だがその分、得られるポイントも大きい。
テオドールも頷く。
「今の俺たちなら十分挑める」
フィアナも静かに同意した。
「危険ではありますが、不可能ではありません」
ノエルは資料を眺める。
「森なら私も動きやすい」
深淵樹海。名前の通り、巨大森林型ダンジョン。
エルフであるノエルにとっては比較的得意分野だった。
ルシアンも静かに頷く。
「相性は悪くありませんね」
その時、教室の扉が開いた。
「やっぱりここにいたわね」
レティシア。
その後ろにシャロンもいる。
レティシアは机へ資料を置いた。
「ちょっと相談しに来たのだけど」
⸻
しばらく話し合い、結論としてレティシアたちは《黒鉄迷宮》へ挑むことになった。
「本当なら深淵樹海に行きたいのだけどね」
レティシアが苦笑する。
「でも、パーティ全体で考えるなら黒鉄迷宮の方が安定するわ」
黒鉄迷宮は罠があり、大量の魔物が出現する。
その代わり、宝箱や素材の質は比較的高い。
レティシアのパーティには斥候役がいる。
罠解除も得意だから、相性は悪くない。
「戦闘は私とシャロンで押し切れるし、雑魚くらいなら問題ないわ」
シャロンも頷いた。
自信は十分。
⸻
一方、勇者パーティはやはり深淵樹海。
危険だが、それ以上に得られるものが大きい。
レオンが笑う。
「せっかくなら一番難しいところ行きたいしな」
ガイウスが苦笑する。
「お前ほんとそういうとこあるよな」
ルシアンは静かに資料へ目を落とした。
(未攻略領域……)
何かあるかもしれない。そんな感覚が少しだけあった。
その後、それぞれ最終決定を済ませ。
レオニードへ報告。
実習までの残り時間は、準備と鍛錬へ費やされることになる。
武器の整備、携行品、地図、魔物知識、連携の確認。
特に合同遠征を経た今の彼らは、以前より遥かに慎重だった。
準備不足が死に繋がる。
それを嫌というほど理解している。
⸻
夕暮れの訓練場でレオンが剣を振る。
以前より丁寧に、無駄を減らすように。
フィアナは支援魔法の確認。
ガイウスは盾の修理を終えたばかり。
ノエルは樹海型戦闘を想定して動きを確認している。
テオドールは魔法構成を調整。
そして、ルシアンは静かに全体を見ていた。
(さて……)
(今度は何が待っていますかね)
静かな風が吹いていた。




