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果てなき世界  作者: 影川明空人
第5章 学園1年目 激動編
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第245話

第245話


 翌日、一年Sクラス教室。


 昨日までの筆記試験の空気とは違い、どこか解放感があった。


 特にガイウスとノエル。


 二人は露骨に生き返った顔をしている。


「やっと終わった……」

「もう二度とやりたくない」


 ノエルも深く頷く。


「座学考えたやつ嫌い」


 テオドールが呆れる。


「まだ結果出てないんだぞ」


「聞こえなーい」


 そんなやり取りをしていると、教室の扉が開いた。


 レオニードが入ってくる。


 自然と空気が引き締まる。


 レオニードは教壇に立つと、軽く周囲を見渡した。


「……まずは筆記試験ご苦労だった」


 珍しく労うような言葉。


 少しだけ教室の空気が緩む。


 だが、すぐに本題へ入る。


「今日からはダンジョン実習について説明する」


 黒板へ地図が映し出される。


「実習地はダンジョン都市アルディア。以前も説明した通り、この都市には三つのダンジョンが存在する」


 地図の三箇所を示す。


「第一迷宮《蒼晶洞窟》」


 青く光る結晶洞窟の絵。


「ここは比較的安全だ。主に水属性系魔物が出現する。資源採取向きだ」


 続いて。


「第二迷宮《黒鉄迷宮》」


 黒い石造りの迷宮。


「ここは罠が多く、魔物数も多めだ。総合力が試される」


 そして最後。


「第三迷宮《深淵樹海》」


 空気が少し変わる。


 巨大な樹海型ダンジョン。


「三つの中でも最難関、未踏破領域も存在する。高ランク魔物の確認例も多い」


 教室が少しざわつく。


 レオニードは続けた。


「どのダンジョンへ挑むかは自由だ。当然、難易度によって得点基準は変わる」

「ダンジョン内で集めた素材、到達階層、討伐した魔物。それらを総合してポイント化する」


 さらに。


「加えて、探索中の連携、判断力、生存能力なども採点対象だ」


 つまり、単純に強ければいいわけではない。


 パーティとしてどう動くか。


 それも見られる。


 レオニードは資料を机へ置いた。


「素材のポイント基準などは後ほど配布する資料を見ろ。実習開始二日前までに、挑むダンジョンを決めて報告すること。実習は約一週間後、それまでに準備を済ませろ」


 説明が終わり、教室の空気が少しざわつき始めた。


「やっぱ深淵樹海か?」


 ガイウスが言う。


 レオンが腕を組む。


「一番ポイント高そうだしな」


 テオドールは少し冷静だった。


「その分危険度も高い。今の俺たちなら十分挑めるとは思うが」


 フィアナも静かに頷く。


「ただ、無理をする必要はありません。試験ですから」


 ノエルは資料を見ながら呟く。


「樹海系はめんどくさい。視界悪いし、奇襲多いし、虫いるし」


 露骨に嫌そうだった。


 ルシアンは静かに資料へ目を通している。


(深淵樹海……)


 未踏破領域、高濃度魔力、何かありそうだ。


 そんな予感が少しだけした。


 その時、レオンが笑う。


「でもまあ、久々に普通の試験って感じだよな」


 合同遠征での魔族との戦闘。


 死と絶望。


 それに比べれば、ダンジョン攻略はまだ“学園らしい”。


 ガイウスも笑った。


「たしかに、今度こそ平和に終わるといいな」


 ルシアンは静かに目を細める。


(……そうだといいですね)


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