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果てなき世界  作者: 影川明空人
第5章 学園1年目 激動編
244/280

第243話

第243話 投稿済み


 大規模試験へ向けた日々が始まった。


 合同遠征の傷はまだ残っている。


 だが、時間は止まってくれない。


 生徒たちは再び前を向き始めていた。



 レオンも徐々に復帰していた。


 まだ本調子ではない。激しい運動をするとすぐに身体が重くなる。魔力の回復も遅い。


 それでも。


「ずっと寝てるだけってのも暇なんだよな」


 そう言いながら教室へ戻ってきた。


 周囲も少し安心した空気になる。


 勇者パーティがまた揃った。


 それだけでも大きかった。


 そして、問題は筆記試験。


「……終わった」


 ガイウスが机に突っ伏す。


「まだ始まってもいないですよ」


 フィアナが呆れたように言う。


 隣ではノエルも露骨に嫌そうな顔をしていた。


「なんで魔物の生態とか覚えなきゃいけないの。斬ればいいじゃん」


 テオドールがため息を吐く。


「お前ら本当に感覚だけで戦ってるんだな……」


 ルシアンも静かに頷いた。


「ノエルはまだしも、ガイウスは特に酷いですね」


「は!?なんで俺だけ!?」


「盾役は状況判断能力も重要です。むしろ一番知識が必要までありますよ」


 ガイウスが絶望した顔になる。



 そんなわけで、勉強会が始まった。


 教える側は、ルシアン、テオドール、 フィアナ、レオン。


 教わる側は、 ガイウス、ノエル。


 主にこの二人。


「だから、魔狼種は群れ構成によって行動が変わります」


 フィアナが丁寧に説明する。


 だが、ガイウスは半分寝ていた。


「ガイウス」


 レオンが笑顔で肩を掴む。


「寝るな」


「いててて!起きてる!起きてるから!」


 ノエルはノエルで机に頬杖をついている。


「……めんどくさ」


 テオドールが淡々と紙を置く。


「じゃあ問題だ。幻惑系魔物への基本対処は?」


「燃やす」


「違う」


「撃つ」


「違う」


「じゃあ何」


「精神干渉への警戒だ」


 ノエルが露骨に嫌そうな顔をした。


「そういうのルシアン担当でいいじゃん」


 ルシアンが静かに首を振る。


「自分で対応できるようになってください。私がいない場面もありますから」


 ノエルが少しだけ黙る。


 合同遠征、あの戦場を思い出した。


 もし本当に誰かが欠けたら。


 そう考えると、軽口も少し減る。


 勉強、訓練、授業、時折行われる模擬戦。


 それぞれが少しずつ前へ進んでいく。


 レオンも以前より剣を丁寧に振るようになった。


 ガイウスは知識を叩き込まれ。


 ノエルも渋々座学を覚え始める。


 テオドールは相変わらず優秀。


 フィアナは安定。


 そしてルシアンは静かに皆を見ていた。


 時間が経つのは早い。


 気づけば、一ヶ月が過ぎていた。



 そして筆記試験当日、アーカディア学園大講堂。


 全学年のSクラス生徒たちが集められていた。


 張り詰めた空気。


 机には大量の試験用紙。


 ガイウスが青い顔をしている。


「帰りたい……」


 ノエルも死んだ目だった。


「ダンジョン実習だけでよくない?」


 レオンが苦笑する。


「頑張れよ二人とも」


 ルシアンは静かに席へ座る。


「さて、一年の成果を見せる時ですね」


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